乳がん検診にはどのくらいの費用がかかる? 無料で受ける方法も

  • 8月 26, 2022
  • 3月 9, 2023
乳がん検診にはどのくらいの費用がかかる? 無料で受ける方法も

日本人女性がかかるがんの中で最も多いのが乳がんです。一方で早期に治療をおこなうことで治ることが多いがんでもあります。早期発見のためには定期的な乳がん検診が必要ですが、みなさんはきちんと検診を受けているでしょうか?費用面が心配で受診できていないという方もいるかもしれませんね。そこで今回は乳がん検診にかかる費用と、無料で検診を受ける方法についても解説いたします。

乳がん検診の費用とは

乳がん検診は年齢や検査方法によって検査費用が異なります。ご自身にとって一番メリットを感じられる受診方法を選ぶことが大切です。乳がん検診の検査方法と全額自費で支払う際の検査費用を紹介いたします。

超音波検査(エコー検査)

超音波検査は、機械から人間の耳には聞こえない小さな音を出し、その音を臓器に当てて跳ね返ってくる反射の様子を画像にする検査です。乳がん検診では超音波を発する器具を直接乳房に当て、写し出された画像を元に診断をおこないます。費用は4,000円前後です。

メリット

・放射線や薬を使用しないので体への負担がなく、妊娠中でも実施可能。
・乳腺が発達している若年者(40歳以下)も痛みがない。
・小さなしこりを見つけやすい

デメリット

・検査を受けることで死亡率減少効果があると科学的に判断されていない。
・石灰化(乳腺の中にカルシウムが沈着した状態。悪性の可能性がある)の評価がしづらい。
・良性の所見が見つかりやすく、再検査になる場合がある。

マンモグラフィ検査(X線検査)

マンモグラフィ検査は、乳房を圧迫して薄く伸ばし、乳房専用のX線撮影装置で撮影することで病変を写し出す検査方法です。費用は5,000円前後かかります。

メリット

・早期乳がんの唯一のサインである石灰化を写しだせる。
・検査受診の継続により乳がん死亡率が低下することが科学的に証明されている。
・撮影方法が定められているため、過去画像と比較しやすい。

デメリット

・乳房を圧迫して撮影するため、痛みをともなう場合がある。
・若い女性や乳腺量が多い人は乳腺組織が真っ白に写り、詳細な診断ができないことがある。
・放射線被ばくがあるため、妊娠中や妊娠の可能性がある方は検査できない。

詳細に検査をしたい場合は、2つの検査を合わせて実施することも可能です。

会社や地域のチケットで無料受診できることも

乳がん検診は会社の健康診断で受けられる場合や、お住まいの地域自治体から検診費用が無料、または一部負担で済むチケットが送られてくる場合があります。

健康組合制度を利用する場合

会社で加入する健康組合の健康診断では、オプションとして乳がん検診をつけられる場合がほとんどです。超音波検査かマンモグラフィ検査、またはその両方を受けるか選択できるため、ご自身の年齢や状況に合わせて検査を受けましょう。費用負担は無料〜1,000円前後が一般的です。専業主婦の方も配偶者の健康組合制度によっては検査を受けられますので、一度確認することをおすすめします。

自治体の検診を利用する場合

40歳以上の方は自治体による検診を2年に1度受けられます。検査は自治体が指定する病院やクリニックでおこない、費用負担は無料〜3,000円前後です。(市区町村によって異なる)

検査方法はマンモグラフィ検査が中心となり、オプションで超音波検査や視触診を追加することが可能です。お住まいの自治体によっては30代でも無料または一部負担で受診できる場合があるため、自治体のHPなどで確認してみましょう。

保険診療で受けられることも

乳がんの自覚症状がなく乳がん検査を個人で受ける場合は保険適応外になりますが、自覚症状(しこり・痛み・分泌物が出るなど)があって受診した場合は、保険が適応される場合があります。これらの検査で異常が見つかった際は、精密検査を受けることになります。セルフチェックで異変を感じた際は、早めに病院で検査を受けるようにしましょう。

乳がん検診は何歳から受けるべき?

乳がんの発症のピークは40代後半〜50代前半のため、40歳を過ぎたら必ず定期的な検診を受けることを推奨します。それ以下の若い年齢の方も乳がん検診を受診することはもちろん可能です。20代後半から稀ではありますが乳がんと診断される方もいるため、30歳を過ぎたら定期的な検診を受けておくと良いでしょう。乳房の異変は自分で触ってもしこりを感じられることがあるため、異常がないか普段からセルフチェックもしておくと安心です。

乳がん検診は早めの受診を!

乳がんは早期発見で命が助かることが多いがんです。マンモグラフィ検査や超音波検査では、セルフチェックでは見つからない小さなしこりや石灰化を見つけることができます。若いから大丈夫だろうと思わずに、必ず定期的に検診を受けるようにしましょう。その際はこの記事を参考に、年齢や使える制度を調べた上で、一番受診しやすい方法で検査を受けてくださいね。

監修:吉岡容子先生

医療法人容紘会高梨医院副院長 皮膚科・美容皮膚科医師
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。
麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。
院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・
美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。

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