卵子凍結とは? 費用やデメリット、痛みなどを紹介

  • 8月 23, 2022
  • 3月 9, 2023
卵子凍結とは? 費用やデメリット、痛みなどを紹介

長期的なキャリア形成を望む女性が増えたことや晩婚化によって、「今」妊娠はできないが将来的には子供を持ちたいと考える人が増えています。しかしながら一般的に年齢を重ねれば重ねるほど妊娠率は低くなるため、若いうちに妊娠に向けて動かなくてはいけないのかとお悩みの方もいるでしょう。そこで本記事では、将来の妊娠に向けて備えることができる「卵子凍結」について詳しくご説明いたします。

卵子凍結とは

卵子凍結とは、卵巣から直接採取した卵子を凍結して保存することをいいます。卵子凍結をするにはふたつの理由があり、ひとつは悪性腫瘍の治療などにより卵巣機能が低下する場合、治療前に卵子を取り出す「医学的適応」によるもの。ふたつめは健康な状態にあるが、将来の妊娠に備えて若いうちに卵子を保存する「社会的適応」によるものがあります。

保存した卵子は妊娠を希望する時期が来た際に融解し、体外受精を行うことで妊娠を目指します。

何歳まで受けられる?

卵子凍結を受けられる年齢はクリニックごとに決まっています。年齢によっては卵子凍結をしたとしても妊娠の可能性が限りなく低い場合があるからです。

大体のクリニックでは卵子凍結ができるのは40歳以下、卵子の保存期間は50歳前後と決められていることが多いようです。しかし残念なことに、体外受精での妊娠率は35歳あたりから低下していきます。また年齢を重ねるにつれて卵子の数も質も下がっていくことは否めません。卵子凍結が不可になる年齢までまだ余裕があったとしても、卵子凍結をすると決めているのであればできるだけ早い時期に受診することをおすすめします。

卵子凍結の一般的な費用

卵子凍結にかかる費用は安くても30万円以上、卵子の保存期間や検査方法によっては100万円以上かかるケースもあります。卵子凍結には採卵手術だけではなく、事前の検査や卵子を複数育てるための排卵誘発剤の使用、採卵できた卵子の保管など、ステップが多いために高額な費用がかかるのです。

卵子を長期間保存する場合や多くの卵子を保存したい場合は、必要な金額を事前にシミュレーションすることが大事。将来妊娠を希望する際には、卵子凍結にかかった金額に加え、体外受精の金額も必要になります。自分がいつ頃妊娠を望むのかを検討し、妊娠までにトータルでいくら必要なのか予測することで予想以上の出費に後悔することを避けられるでしょう。

卵子凍結のメリット・デメリット

卵子凍結をすることで、今妊娠を考えていない人も将来に備えて卵子を保管することが可能です。しかし卵子凍結にはメリットばかりでなく、デメリットも存在します。

メリット

・質の良い卵子を保存できる
一般的に妊娠につながりやすいとされている年齢は約20〜35歳といわれています。35歳を過ぎると卵子の質は急激に低下し、妊娠の可能性が下がるのです。若い年齢で卵子凍結をしておくと、採卵時の年齢の卵子で体外受精に臨めるため、妊娠の可能性がアップすると考えられています。

・ライフプランに合わせて妊娠できる
自身の年齢を考えて焦って妊娠を計画することを避けられます。現在子供を一緒に育てるパートナーがいない場合やキャリアを優先したい場合、卵子を凍結しておくことで、妊娠したいと思ったタイミングで質の良い卵子を使用し、計画的に妊娠することが可能になります。

デメリット

・費用がかかる
卵子凍結には手術だけでなく検査や卵子の保管にも費用がかかります。長期間卵子を保管したり、多数の卵子を保存したりする場合は保管費用が毎年かかることが多いため、多額の費用がかかる場合があります。

・妊娠が保証されているわけでは無い
年齢が若いときに卵子を保管したとしても、必ず妊娠できるという保証はありません。卵子を融解した際に卵子の質が悪かったり、将来のパートナーが男性不妊だったりする場合には妊娠が難しいこともあります。多額の費用をかけて卵子を保管したとしても、必ず妊娠できるわけではないのです。

・採卵手術には痛みが伴う場合がある
採卵手術は針で卵胞から卵子を採取するため、痛みを伴う場合があります。クリニックによっては静脈麻酔をしてもらえることもあるので、採卵の痛みが心配だという方は事前に担当の先生に相談することも大事です。

気になる方は一度クリニックへ

卵子凍結は将来妊娠を考えている人にとってメリットの大きい技術であるといえます。しかしながら高額の費用がかかることや、必ず妊娠できるという保証があるわけではないのも事実です。卵子凍結をやってみたいと思った方は、クリニックによって手術を受けられる年齢や金額に大きな差があるため、比較検討した上で一度相談に行くことをおすすめします。

監修:吉岡容子先生

医療法人容紘会高梨医院副院長 皮膚科・美容皮膚科医師
東京医科大学医学部医学科を卒業後、麻酔科学講座入局。
麻酔科退局後、明治通りクリニック皮膚科・美容皮膚科勤務。
院長を務め、平成24年より医療法人容紘会高梨医院皮膚科・
美容皮膚科を開設。院長として勤務しています。

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