目次
今回はピルの飲み合わせについて解説するよ!
- ピルを服用するときはどんな飲み物でも良いの?
- ピルと合わない薬ってあるの?
PMS症状の緩和や避妊目的のために利用するピルですが、飲み合わせや食べ合わせに気を付ける必要はあるのでしょうか。
結論、処方薬やサプリメント、食べ物や飲み物には相性の良くないものがあります。
今回はピルの服用を検討する方や実際に内服中の方へ、注意すべき飲み合わせと食べ合わせについて解説します。
ピルとの飲み合わせが悪いと起こりうるリスク
ピルは内服によってホルモンを取り込む薬剤です。そのため、飲み合わせるものや食べ合わせるものによっては、薬の作用に影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、ピルの飲み合わせが悪いことで起こりうるリスクを3つご紹介します。
- ピル、または内服薬の効果が増減する
- 副作用を強めてしまう
- 体調不良をきたす
どのような理由から飲み合わせや食べ合わせに注意しなければならないのか、考えられるリスクを押さえておきましょう。
ピルを服用するなら、最初にチェックしたい項目だよ!しっかり目を通そう!
ピル、または内服薬の効果が増減する
ピルに含まれる成分には、内服薬やサプリメントの作用を増減させる場合があります。またこの逆パターンも考えられることから、内服薬がある方は医師に相談することが大切です。
もし仮にピルの効果を強めてしまえば、副作用も強めてしまうことになります。下記項目をチェックし、該当する方はクリニックの医師に相談した上でピルの服用を検討しましょう。
- 現在病院で処方された薬を服用している
- 毎日決まったサプリメントを服用している
副作用を強めてしまう
ピルとの飲み合わせが悪い薬を服用すると、それぞれの薬で見られる副作用を強める場合があります。処方薬や市販タイプの解熱剤だと、ピルによる副作用が強く出るといった可能性も少なくありません。
頭痛や生理痛によって解熱剤(痛み止め)を服用する方は、クリニックの医師へ相談してから検討を進めましょう。
体調不良をきたす
ピルとの飲み合わせによっては、胃痛や嫌悪感などの体調不良につながる恐れもあります。体を守りながら服用するためにも、内服中の薬がある方は必ず医師に相談しましょう。
ポイント
- ピルと処方薬などの飲み合わせには注意が必要
- すでに内服薬がある場合は、医師に相談する
- 市販薬やサプリメントなど、日常的に口にするものもあわせて相談する
ピルと相性の悪い薬の飲み合わせ
ピルには飲み合わせの悪い薬があります。薬の種類によってはどちらかの効果を増減させるほか、副作用が強く出るなどの悪影響を及ぼします。
ここでは下記4つの処方薬について解説します。内服薬がある方は、相性の悪い薬に該当していないかをチェックし、それぞれどのような作用があるのかを押さえておきましょう。
- 抗生物質
- 抗てんかん薬
- 精神刺激薬
- 精神刺激薬
ピルと処方薬の飲み合わせはとくに注意すべき項目だよ!それぞれの効果を適切に得るためにもしっかりチェックしておこう!
抗生物質
にきびやおでき、とびひなどを治療中の方は、テトラサイクリン系の抗生物質を服用している可能性があります。テトラサイクリン系は腸内環境に影響を与える薬のため、ピルの再吸収を抑える作用があり、効果が減少するといわれています。
またインフルエンザや肺炎などの治療に用いられるペニシリン系抗生物質も同じ理由から、医師へ相談が必要です。
抗てんかん薬
下記成分を含む抗てんかん薬を内服する方も飲み合わせにおいて注意が必要です。
- フェノバルビタール
- プリミドンフェニトイン
- カルバマゼピン
- プリミドン
- トピラマート
- オクスカルバゼピン
- ペランパネル
- トピラマート
- ラモトリギン
- ルフィナミド
これらの薬には酵素誘導作用があり、肝臓での分解を促進するはたらきがあります。酵素誘導作用がある薬とピルを併用すると、肝臓でのピルの分解が促進され、効果が減少するといわれています。
抗てんかん薬とあわせてピルを服用したい方は、酵素誘導作用のない下記の薬に変更できないかを医師に相談しましょう。
- エトサクシミド
- バルプロ酸
- ガバペンチン
- クロナゼパム
- レベチラセタム
- ゾニサミド
- ラコサミド
- ビガバトリン
精神刺激薬
ピルとの飲み合わせで注意すべき薬は、精神刺激薬のひとつであるモダフィニルなどが挙げられます。併用によってはピルの作用を弱める可能性があるため、精神科に通院する方は、必ず医師に相談しましょう。
抗結核薬
抗結核薬のリファンピシンやリファブチンは、併用によってピルの代謝を促進するといわれています。これにより、不正出血や体重増加が見られる場合があります。
特に低用量ピルは作用が減少する恐れがあるので、内服中の方は内科医へ相談しましょう。
抗HIV薬
HIV感染症を治療中の方も注意が必要です。抗HIV薬には非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬やプロテアーゼ阻害薬といった薬があり、併用によってピルの作用を弱めます。
PMS症状緩和や避妊効果を目的とする場合は、必ず医師に相談してから服用を検討しましょう。
ポイント
- 抗生物質や精神刺激薬など、処方薬にはピルとの併用が禁忌とされるものがある
- 現在治療中で内服薬がある場合は、必ず医師に相談することが大切
飲み合わせに注意したいサプリメント
ここでは飲み合わせに注意したいサプリメントを4つご紹介します。サプリメントは健康維持のために飲むものであり、薬のような強い効果はありません。
しかし、飲み合わせによっては悪影響につながるものもあるので十分注意しましょう。
- ビタミンC
- セント・ジョーンズ・ワー
- プラセンタ
- 大豆イソフラボン
飲む機会の多いサプリメントがあるなら、副作用やピルへの影響についてしっかり目を通しておこう!
ビタミンC
ビタミンCを飲む機会の多い方は注意が必要です。ある研究結果では、併用によって低用量ピルでも中用量ピルと同様の強い作用が見られたという報告があります。
これはピルの効果を高めるといった意味ではなく、副作用が強く出るといったデメリットに当てはまります。
偏頭痛や吐き気、肩凝りなど副作用は個人差がありますが、体に異常をきたす副作用を避けたい方は併用に注意しましょう。
セント・ジョーンズ・ワート
セント・ジョーンズ・ワートを併用することで、ピルの作用を下げてしまうといわれています。セイヨウオトギリソウを含む同製品は、毎日を快適に過ごすために服用する方も多いサプリメントのひとつです。
ピルの服用にあたっては、同製品の服用を控えることをおすすめします。
プラセンタ
プラセンタサプリは女性の美容と健康をサポートするサプリメントです。ピルとの併用によってピルの効果を減少させるといわれています。
女性の健康維持に役立つサプリメントですが、服用中の方は中断を検討するのが望ましいでしょう。
大豆イソフラボン
大豆イソフラボンは、構造が女性ホルモンと類似していることから、ピルの作用を強めるため注意が必要です。
日頃から積極的に大豆食品を口にする方は、過剰摂取によって副作用をさらに強める可能性があるので、摂取量に十分注意してください。
バストケアサプリ
プエラリア、またはピンキープラスといったバストケアサプリも注意が必要です。プエラリアの主成分(プエラリア・ミリフィカ)にはエストロゲンに類似した成分が含まれています。
ピルとの併用によって不正出血や月経不順を引き起こしたり、作用を弱めてしまったりする可能性があるため、併用は避けてください。
また、ピンキープラスの主成分であるブラックコホシュもイソフラボンを含んでおり、ピルの作用を高める恐れがあります。どちらもピルの作用に影響を及ぼすため、併用は避けましょう。
ポイント
- ピルを服用するときはサプリメントの成分に注意する
- ビタミンCやイソフラボンを含むサプリメントは特に注意が必要
- セント・ジョーンズ・ワートは服用は避けるのが望ましい
ピルと相性の悪い飲み物
ピルの服用にあたっては、相性の悪い飲み物もあります。ここでは下記3つの飲み物について解説します。よく口にする飲み物がある場合は、考えられるリスクについて押さえておきましょう。
- アルコール
- 炭酸飲料
- カフェイン入りドリンク
エナジードリンクや栄養剤はどうなのかな? それらについても説明するよ!
アルコール
ピルの服用ではアルコール摂取量に注意しましょう。影響は少ないとされるものの、アルコールを飲み過ぎると作用が減少する可能性があります。
また、ピルの内服時間とアルコール摂取の時間が重なった場合も、ピルの作用に影響を及ぼすとされています。お酒を飲むのが好きな方は、アルコール量とピルの内服時間に十分注意しましょう。
炭酸飲料
炭酸飲料には気泡性があることから、ピルの吸収に影響を及ぼすとされています。どうしても炭酸飲料が飲みたいときは、時間差をつけて飲む、量を最小限に抑えるなどの工夫を取り入れましょう。
カフェイン
エナジードリンクや栄養ドリンクは、ピルへの影響が少ないとされています。ただし、エナジードリンクにはカフェインの多いものや糖分の高いものもあるので、多飲や成分に気を付けましょう。
ポイント
- お酒はピル内服時間との間に時間差をつける
- 気泡性のある炭酸飲料は飲む時間や量に注意する
- カフェインや多糖タイプのエナジードリンクはできるだけ避ける
ピルと相性の悪い食べ合わせ
飲み合わせ以外にも、ピルは相性の悪い食べ合わせもあります。特にグレープフルーツには、果肉にフラノクマリン類と呼ばれる成分が含まれており、ピルの作用を強めるとされています。
PMS症状や避妊効果以外にも、副作用も該当するため、グレープフルーツやフラノクマリン類を含む下記柑橘類には十分注意しましょう。
- はっさく
- ダイダイ
- 夏みかん
- ぶんたん
- いよかん
- 金柑
フラノクマリン類は野菜にも含まれています。以下の項目を参考にしながら、摂取を控えるなどの工夫を取り入れましょう。
- セロリやにんじんを含むセリ科
- 小豆、落花生を含むマメ科
- レタスや春菊を含むキク科
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類は24時間以内に作用がみられるといわれているよ! できるだけ口にしないよう注意しよう!
ポイント
- 柑橘系は注意が必要
- 特にグレープフルーツは避けるべき食べ物
- フラノクマリン類はさまざまな食材に含まれているため注意
ピルの効果を高めてしまう薬の飲み合わせ3種
ピルとの飲み合わせによっては、薬の作用を強めてしまう薬もあります。処方薬を内服中の方は、体を守るためにもしっかり目を通しておきましょう。
- 解熱鎮痛薬
- 抗真菌薬
- 糖尿病治療で用いられる薬
医師から処方された薬はピルの作用を高めてしまうことがあるんだ! 処方薬を服用中の方は細かくチェックしよう!
解熱鎮痛薬
アセトアミノフェンを含む解熱鎮痛薬は、ピルの作用を増加させる一方で、アセトアミノフェンの効果を減少させる可能性があります。
痛み止めや解熱剤を必要とする方は、いずれの薬にも作用しにくい非ステロイド系鎮痛薬に切り替えることをおすすめします。
非ステロイド系鎮痛薬
- ロキソニン
- イブプロフェン
- ボルタレンなど
抗真菌薬
フルコナゾールやボリコナゾールといった抗真菌薬も注意が必要です。抗真菌薬にもピルの作用を増強するとされているため、併用しなければならない場合は医師へ相談することをおすすめします。
なお、抗真菌薬そのものにはさまざまな副作用があります。抗真菌薬を内服中の方で、腹痛や嘔吐などがみられる場合は、ピル服用について必ず医師に相談してください。すでにピルと併用中で体調に違和感がある場合も、速やかに医師に相談しましょう。
糖尿病治療で用いられる薬
糖尿病治療中の方も、ピル服用については医師に必ず相談しましょう。糖尿病患者がピルを併用した場合、糖代謝や脂質代謝などの影響を及ぼす可能性があります。
ほかにも、心筋梗塞や血栓症のリスクも懸念されるため、クリニックの医師に糖尿病治療中である旨を必ず相談してください。
ポイント
- 併用によってピルや薬の副作用を強めてしまう可能性がある
- 処方薬を服用中の方は、ピル服用について医師に相談することが大切
ピルの服用によって効果を強めてしまう薬4種
ピルと併用することで効果を強めてしまう薬もあります。ここでは下記4つの薬について解説します。
- 副腎皮質ステロイド
- 三環系うつ剤
- 免疫抑制剤
- フラノクマリン類を含む漢方薬
ピル併用によって効果を高めてしまうと、薬による副作用が強まる場合があるんだ! しっかりチェックして体を守りながら服用しよう!
副腎皮質ステロイド
副腎皮質ステロイドはピルとの併用によって作用が強まるとされています。副腎皮質ステロイドは処方薬であるため、効果や作用が強い傾向にあります。
副腎皮質ステロイドがもつ副作用も強めてしまう可能性も考えられるため、ピル服用にあたっては必ず医師に相談してください。
三環系うつ剤
三環系抗うつ剤はピルとの併用によって抗うつ薬の作用が強くなります。どちらも服用しなければならない方は、必ず医師に相談し、適切な指示を仰ぎましょう。
免疫抑制剤
シクロスポリンと呼ばれる成分が含まれる免疫抑制剤も、ピルとの併用によって作用が強まる薬に分類されます。
どうしても併用しなければならない方はクリニックや内科医の医師に相談し、適切な指示を仰ぎましょう。
フラノクマリン類を含む漢方薬
グレープフルーツの果肉に含まれるフラノクマリン類は、ピルとの併用は禁忌とされています。漢方薬にも含まれるケースもあるため、服用中の方はクリニックや内科医の医師へ量の調節や切り替えを相談してください。
フラノクマリン類を含む主な成分
- サクラ
- モモ
- シナモン
- イチジク
- カラシ
- ドクダミ
- クチナシ
- クロレラなど
口にする機会の多そうな成分がたくさん…! 成分表はしっかりチェックしなきゃだね!
ポイント
- 処方薬の中にはピルの併用によって効果を強めるものがある
- 効果を強める=副作用が強くなるため、注意が必要
- 服用中の処方薬がある方は、必ず医師に相談する
ピルとの飲み合わせで影響の少ないもの
ピルとの飲み合わせおいては影響の少ないものもあります。
- 葉酸サプリ
- 亜鉛サプリ
- 鉄剤
- 漢方薬
- 市販の飲み薬や塗り薬(湿布を含む)
上記のサプリメントや湿布薬は影響が少ないとされています。サプリメントによる副作用が心配なときは、必要な栄養素を含む食材を取ることを習慣づけると良いでしょう。
鉄分や脂質などを取り込みたいなら、アーモンドやカシューナッツなどに切り替えるのがおすすめです。
ポイント
- サプリメントや湿布薬は併用しても問題ない
- 副作用が心配なときは、食べ物から摂取するよう習慣化する
- サプリメントや湿布薬によって気になる症状がみられるときは、はやいうちに医師に相談する
すぐ受診が必要な症状
処方薬や市販薬、サプリメントや食事によって気になる症状がみられる場合もあります。なかでも早期に医師による診察が必要な症状は下記の3つです。
- 体のしびれや腫れ
- 激しい頭痛や腹痛
- いつもとは違う感覚
これらの症状がみられる場合は、放置せず早い段階で医療機関を受診してください。なお、喫煙者の場合は血栓症リスクが高いので、喫煙者であることも必ず医師へ伝えましょう。
ちょっとでも違和感があるときは、すぐにクリニックに受診しよう!
ポイント
- 気になる症状がみられるときはすぐに医療機関を受診すること
- 少しの違和感でも放置しない
- 喫煙者の場合はその旨を必ず医師に相談する
ピル服用時は口に入れる物に気を配ろう!
今回はピルとの飲み合わせについてご紹介しました。処方薬はそもそも効果が強いために、併用によっては作用を増減する場合があります。
市販薬や飲み物、サプリメントや食材でも作用の増減は考えられることから、ピル服用時は口に入れる物に十分気を付けることが大切です。本記事でまとめた内容を参考にしながら、ピルの検討を進めてください。
ピルの飲み合わせには細心の注意を払う必要があるんだね! この記事を参考にしながら、体を守る服用を心がけよう!