目次
- 「ピルを飲んでいるのに、生理が来なくて不安」
- 「妊娠検査薬はピルを飲んでいると使えない?」
ピルの避妊成功率は99.7%、失敗する人は100人中1人以下の確率です。高い避妊率とはいえ、全員が妊娠しないとはいい切れません。
この記事ではピルを内服しても妊娠する原因や、妊娠検査薬の使い方について解説します。
生理がこない原因や、結果による対処法を確認しよう!
ピルを内服していたのに妊娠した原因4つ!
ピルを内服していたにもかかわらず妊娠検査薬が陽性になる原因は、以下の4つです。
ピルにはいくつかの種類があります。なかでも避妊目的で用いられるピルは低用量ピルとアフターピルで、2種類の違いは以下のとおりです。
ピルの種類 | 低用量ピル | アフターピル |
飲む目的 | 排卵を抑え、妊娠しにくい状態を作る | 緊急的に避妊作用を要するとき |
飲むタイミング | 毎日決まった時間に継続して飲む | 性交後72時間以内に飲む |
避妊成功率 | 毎日正しく内服した場合99.7% | 72時間以内に内服で約80% |
消退出血 | ・開始時期:休薬から2〜3日後 ・性状:少量で茶色っぽい ・持続期間:5日ほど | ・開始時期:内服してから2週間以内 ・性状:少量の出血が2~3日ほど |
どちらのピルも避妊が期待できるとはいえ、飲むタイミングや避妊成功率は異なります。
ピルはホルモンを一定に保つためには、正しい服用方法が大切です。用法や用量を守らなければ、妊娠検査薬が陽性になる可能性があがります。
ピルを内服していたのに妊娠する原因について解説するよ!
原因1.ピルを飲み忘れた
ピルを飲み忘れると排卵する可能性があることから、妊娠する原因につながります。
排卵を抑制するピルは毎日同じ時間に1錠飲み、ホルモンの血中濃度を保つことが大切です。飲み忘れることでホルモンバランスが崩れ、排卵する可能性があります。
飲み忘れるタイミングによっても異なりますが、連続で飲み忘れるほど排卵し妊娠検査薬陽性になる可能性はあがります。飲み忘れた場合の日数ごとの対処法は、以下のとおりです。
飲み忘れ日数 | 対処法 |
1日 | ・毎日の内服時間に当日分を服用 ・飲み忘れに気づいたタイミングで服用 |
2日 | ・毎日の内服時間に当日分を服用 ・飲み忘れに気づいたタイミングで服用 ※飲み終わりは1日ずれる |
3日以上 | 生理がくるため服用中止 |
飲み忘れ2日目で生理になる方もいますが、何日も飲み忘れた場合には一度、処方を受けた病院に相談してください。
原因2.ほかの薬との飲み合わせが悪かった
ピルのほかにも薬を内服している場合、飲み合わせの相性によって避妊作用が得られず、妊娠検査薬陽性につながる可能性があります。ピルとの相性が悪いとされる薬は、以下のとおりです。
飲み合わせが悪いと、ピル単体もしくは両方の薬の作用を減らしたり、反対に強くしたりします。身体に負担をかける場合もあるので、内服の併用には注意が必要です。
普段から内服している薬がある場合や、ピル内服中にほかの薬が必要になった場合には、必ず医師に相談してください。
原因3.成分が十分に吸収されなかった
ピルは成分が吸収されることで排卵を抑制します。成分が十分に吸収されない場合、排卵し妊娠検査薬の陽性につながる可能性が高くなります。
ピルが吸収されるまでの時間は、内服してから約2時間です。成分は腸から吸収されるため、嘔吐や下痢などの症状が出た場合には必要量が足りなくなります。
さらに、ピルには飲みものとの相性もあり、吸収に影響を及ぼすとされるのは、以下のとおりです。
ピルと相性の悪い飲みものを同じタイミングで飲むのは避けてください。
原因4.ピルの内服タイミングが遅かった
ピルの内服タイミングを誤ると、妊娠する可能性が高くなります。
避妊目的で使用されるピルは低用量ピルとアフターピルですが、そのうち低用量ピルは、排卵前から服用することで排卵が抑制されます。すでに卵子が出ている排卵後の内服では、ほかの避妊方法との併用が必要です。
一方、アフターピルは緊急避妊薬とも呼ばれ、性交後に服用することで妊娠リスクを下げます。避妊成功率は72時間以内の内服で10人中8人ほどです。
アフターピルは内服時間が早いほど避妊成功率が上がるため、万が一のときには早めに対処しましょう。
ピル内服後に生理が来ない妊娠以外の理由
ピル内服後に生理が来ない理由には、妊娠以外にも以下の3つがあります。
ピル内服後に妊娠検査薬が陰性になる場合、いずれかの理由に当てはまる可能性があります。
ピルの使い方以外にも身体の状態による可能性もあるよ!確認してみよう!
休薬期間を取っていない
ピルの休薬期間を守っていないと、生理がこない場合があります。休薬期間とはピルを飲み終え、内服をお休みする期間のことです。
ピルは内服し続けることで子宮と卵巣にはたらきかけ、排卵を抑制したり子宮内膜の増殖を抑えたります。子宮や卵巣が休みすぎて本来の機能を忘れないためにも、一定期間ごとにはたらかせる必要があります。
低用量ピルの休薬期間は1ヶ月に1度、約1週間です。休薬期間中には生理に似た、子宮内膜が剥がれ落ちることで生じる消退出血が起きます。
消退出血は少量で、出血するタイミングは多くが休薬してから2〜3日、出血期間は約5日ほど続きます。休薬期間中に生理がこない場合は妊娠している可能性があるため、タイミングをみて妊娠検査薬を使用するのがおすすめです。
ストレスが溜まっている
ストレスは生理周期が乱れ、生理が来なくなる原因のひとつです。過剰なストレスは女性ホルモンの分泌が抑えられ、生理不順につながります。
悪化すると3ヶ月以上生理が止まる、続発性無月経症になる可能性もあります。続発性無月経症は生理がこないうえ、もちろん妊娠検査薬では陰性が出ます。
放置することでエストロゲンの不足状態が続き、骨粗しょう症にもつながるため、早めの治療が必要です。
正常な生理周期を維持するためにも、ストレス解消方法を見つけておくと良いね!
病気の可能性がある
生理が来ず妊娠検査薬も陰性だった場合、病気の可能性もゼロではありません。生理を止める原因となる病気の代表例は、以下の2つです。
ポイント
- バセドウ病(甲状腺機能亢進症):身体の代謝バランスに関与する甲状腺の病気
- 下垂体腺腫:女性ホルモンに関与する脳下垂体にできるがん(多くは良性)
特に、バセドウ病は20~30代の女性に好発しやすく代謝バランスが崩れ、動悸がしたり疲労を感じやすくなったりします。ピル内服後に生理が来ない、身体の不調がある場合には、早めに医師に相談してください。
ピル内服後に妊娠検査薬を使えるタイミングは?
低用量ピルを服用している場合の妊娠検査薬のタイミングは、性交した日から3週間後です。性交日が曖昧な場合は、生理予定日から1週間経ってから検査してください。
市販されている妊娠検査薬にはさまざまな形状がありますが、基本的な使い方や仕組みは同じです。使用する際は判定までの時間や結果の見方を把握するため、取扱説明書を読んでから検査しましょう。
妊娠検査薬の使用方法
- 検査薬を取り出し、先端を尿で濡らす
- 平らな場所に起き、反応が出るまで待つ
- 判定スペースに出たサインを確認する
多くの妊娠検査薬はスティック状です。先端を濡らすには、直接尿をかける方法と紙コップで採尿する方法があります。
尿で濡らしたあとは傾かせず平らなところに置き、判定終了のサインが出るまで待ちます。
検査結果は判定スペースに直線が出れば妊娠の可能性あり、出なければ可能性はないよ!
使用後は産婦人科で確定診断してもらってね!
ピルの副作用と妊娠初期症状の違い
ピルの副作用と妊娠初期症状の違いは、消退出血の有無です。ピルは女性ホルモンの薬であるため、服用当初に妊娠初期と似た症状が出る可能性があります。
低用量ピルは通常であれば休薬期間に入ると消退出血があります。1週間以上経っても出血がなければ、妊娠している可能性があります。性交日から3週間経った時点で、妊娠検査薬を使用してください。
服用初期に出やすい低用量ピルの副作用
- 不正出血
- 吐き気・嘔吐
- だるさ
- 下腹部の痛み
- 頭痛・偏頭痛
どれも妊娠初期にも起こりうる症状です。副作用は一般的に多くが飲み始めの時期に現れ、2〜3ヶ月ほど飲み続けることで症状が軽減します。
副作用の原因はホルモンバランスの乱れであり、身体がピルに慣れると症状が軽減します。飲み続けていても症状が長引くならば、医師に相談してください。
ピル内服後の妊娠検査薬で出た反応による対処法
ピル内服後に出血がないと、妊娠したのではないかと不安になる方もいます。しかし、焦る気持ちから妊娠検査薬のタイミングを間違えると、正しい結果が出ません。
妊娠検査薬を使用する最適のタイミングは、思い当たる性交日から3週間が経過した頃、もしくはピルの休薬期間に入り1週間が経過した頃です。
妊娠検査薬の反応ごとに、適切な対処法を紹介するよ!
陽性だったケース
陽性反応は妊娠している可能性があるため、すぐに産婦人科を受診し確定診断を受けてください。妊娠している場合、正常な位置に着床しているか、感染症を持っていないかなど、身体の状態を確認する必要があります。
しかし、妊娠検査薬は妊娠していないときにも以下が原因で陽性反応が出る場合があります。
- 尿をかけすぎる
- 糖尿病や膀胱炎に罹っている
- 妊娠検査薬に反応するhCG産生腫瘍に患っている
- 妊娠したが流産している
病気が隠れていたり流産している可能性もゼロではないため、ピル内服後に妊娠検査薬で陽性だった場合には早めに受診してください。
陰性だったケース
性交日から3週間後の妊娠検査薬で陰性が出た場合、妊娠している可能性は低くなります。ただし、使用する妊娠検査薬によっては早期の妊娠状態には反応せず、陰性と出る場合があるので注意してください。
出血が無い状態が続く場合には、さらに1週間後に妊娠検査薬を使いましょう。再検査までに性交がなく、2回目の妊娠検査薬も陰性ならば、妊娠はしていません。
妊娠検査薬を使う前にピル内服で注意すべきこと
ピルを内服するうえで注意すべきことは以下の3つです。
妊娠検査薬を使うことになる前に、確認しておきたいポイントだよ!
少量の出血は不正出血の可能性もある
ピルを飲み始めてから2〜3ヶ月は、少量出血する場合があります。生理以外の出血は不正出血と呼ばれ、ホルモンバランスの乱れにより子宮内膜が剥がれやすくなることが原因です。
不正出血はピル内服初期にみられる薬の副作用で、ホルモンバランスが整うとともに消失します。ピルの内服は続けて問題ありませんが、不安な場合は医師に相談し検査する選択をしてください。
ピルによる避妊成功率は100%ではない
ピルを内服しても避妊が成功する確率は99.7%です。正しい内服方法でも100人に1人以下の確率で妊娠し、さらに飲み忘れや成分の吸収が不十分だと、妊娠検査薬で陽性が出る可能性は高まります。
特に慣れないうちはピルの飲み忘れが起きやすいため、アラームをセットして対策するのがおすすめです。
緊急時にはアフターピルも検討してね!
低用量ピル内服中でも避妊具(コンドーム)を使う
避妊成功率の高い低用量ピルですが、妊娠する可能性はゼロではありません。ピルを過信することなく、コンドームも使用してください。
コンドームも100%の避妊効果があるとはいえませんが、ピルとの併用で妊娠予防できる可能性は高くなります。
くわえて、コンドームは避妊以外にも性感染症を防ぐ役割もあるため、妊娠を希望しない場合にはあなた自身を守るためにも併用するのがおすすめです。
ピルと妊娠検査薬の関係についてよくある質問
避妊目的で使用している低用量ピルや妊娠検査薬について、よくある質問を紹介します。
不安にならないためにも、確認しておこう!
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ピルと妊娠検査薬の相互作用はあるの?
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低用量ピルの内服が、妊娠検査薬の結果に影響を及ぼすことはありません。妊娠検査薬は妊娠すると分泌されるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)に反応し、陽性になります。
ピルはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の薬であるため、反応する可能性は0%です。
ピル内服後に妊娠検査薬を使用する際は、性交日から3週間後、もしくは休薬期間に入り1週間経ってから検査してください。
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低用量ピルの作用が出るのは内服開始後いつから?
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低用量ピルは内服を開始してから約1週間後に避妊成功率は最大99.7%まであがります。内服開始直後は妊娠しないためにコンドームも併用してください。
薬を開始するタイミングは生理開始から5日以内です。生理期間以外でも内服は可能ですが、あらかじめ妊娠していないことを検査する必要があります。
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妊娠に気づかずにピルを内服していたけど大丈夫?
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現在の研究では妊娠に気づかずにピルを内服していても、胎児に与える影響は低いとされています。
比較的新しいHarlapの報告では、流産児と出生児を対象に調べると、逆にOC服用群は避妊をしていない対照群に比べ染色体異常となる危険率は低いとしている。
厚生労働省|経口避妊薬(OC)の安全性についてのとりまとめとはいえ、薬が胎児に与えるリスクを最小限にするためにも、妊娠に気づいたタイミングでピルの内服は中止してください。
ピル内服後の妊娠検査薬は性交3週間後に使用する
ピル内服後に生理がない場合、妊娠検査薬は性交から3週間後、もしくは休薬期間1週間後に使用してください。ピルを継続的に内服しても、妊娠する可能性はゼロではありません。
誤った結果にならないために、適切なタイミングで妊娠検査薬を使用しましょう。しかし、生理が止まる原因には妊娠以外にもさまざまな理由があります。妊娠検査薬の使用後にも出血がなければ、医師に相談してください。