鹿児島市山下町、市電「朝日通」電停や「いづろ通」電停からほど近い場所に位置する「福元メンズヘルスクリニック」。ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)治療、射精障害など、男性特有の幅広い悩みに対応しています。今回は院長を務める福元和彦(ふくもとかずひこ)先生に、泌尿器科医、そして性機能の専門家としての道を歩むことになった経緯や、現代男性が抱える性の悩みとそのアプローチについて、詳しくお話を伺いました。
泌尿器科からメンズヘルスの専門家へ

____先生が医師になったきっかけについて教えていただけますか?
福元和彦先生直接的なきっかけは、医師である父の影響が大きいですね。ただ、正直なところ、学生時代はかなり遊びにも熱中していました。二浪した時の大学の面接で「医師になるなら、もう来年合格しないと難しいよ」と言われ、危機感を覚えて必死に勉強し、なんとか医学部に滑り込んだという感じです。人生の流れと、周りの支えがあって、医師という道に進むことができたと思っています。
____そこから、なぜ泌尿器科を選ばれたのでしょうか?
福元和彦先生父は腎臓内科医で、私も内科か外科かで迷っていました。そんな学生時代に、泌尿器科の先生方から非常に熱心なお誘いを受けたんです。それが決め手となり、泌尿器科の道に進むことにしました。強い志があったというよりは、ご縁とタイミングが大きかったですね。
____泌尿器科の中でも、とくに「メンズヘルス」、性機能の分野を専門とされるようになった経緯を教えてください
福元和彦先生父が鹿児島で「福元クリニック」を開業していました。いずれはクリニックを継ぐという考えがありましたし、それ以外の選択肢は実質的になかったんです。大学卒業後は岡山で泌尿器科医として勤務していましたが、「10年で鹿児島に帰る」と決めていました。
将来、開業医としてやっていく上で、外来診療で完結できる排尿障害や性機能の問題分野に専門性を絞ろうと思ったのです。幸い、大学時代の恩師が性機能の専門家であったという運にも恵まれ、この分野を深く学ぶことになりました。
「メンズヘルス」が注目され始めた頃、父のクリニックを継承し、泌尿器科・内科の保険診療を行う傍ら、2017年に自費診療を中心とした「福元メンズヘルスクリニック」を開設し、EDやAGA、そして射精障害など、より専門的なメンズヘルスの領域に注力するようになりました。
ED、AGAから射精障害まで。現代男性の多様な悩みに応える

____先生のクリニックには、どのようなお悩みを持つ患者さまが多く来院されますか?
福元和彦先生「福元クリニック」の泌尿器科では、頻尿や尿漏れといった排尿に関するお悩みのほか、男性の前立腺肥大症に関するお悩みが多いですね。また、鹿児島県内では性感染症の患者さまも多く、淋病、クラミジア、梅毒などの治療も数多く行っています。一方、「福元メンズヘルスクリニック」では、ED(勃起不全)やAGA(男性型脱毛症)のご相談が最も多いですね。近年非常に増えているのが、結婚を控えた男性が精液検査などを受けに来られる「ブライダルチェック」です。当院では、そうしたニーズに応える形でブライダルチェックを提供しており、多くの方にご利用いただいています。
____射精障害に悩む方が増えています。
福元和彦先生最近とくにオンライン診療で全国から相談が増えているのが、射精障害です。原因は様々ですが、メンタル的な要因や、誤った性知識、不適切なマスターベーションの習慣などが関係していることが多いです。また、若者の草食化が進み、性交渉の経験自体が少ない、あるいは全くないまま成人し、いざという時にどうすれば良いかわからない、という方も少なくありません。
ED治療薬を処方するだけのクリニックは都市部などに多く存在しますが、性機能の問題は非常にデリケートで、過去の性的なトラウマや精神的な要因が複雑に絡み合っていることも少なくありません。本来であれば、そうした背景まで含めてケアできる専門家(セックスセラピストなど)の介入が必要なのですが、残念ながら日本にはそうした専門家が非常に少ないのが現状です。当院では、単に薬を処方するだけでなく、丁寧なカウンセリング*1を通じて、根本的な原因を探り、性教育やトレーニングも含めた多角的なアプローチを行うことを重視しています。
____患者さまと向き合う上で、デリケートな問題だからこそ、あえて厳しく接することもあるのですか?
福元和彦先生基本的には患者さまのお気持ちに寄り添いますが、誤った知識や思い込みが強く、それが問題解決の妨げになっているような場合には、はっきりと間違いを指摘し、厳しく指導することもあります。ただ、それも信頼関係があってこそできることですし、まずは何でも話せる関係性を築くことが大前提です。
性機能に関する悩みは、なかなか気軽に受診できる環境ではありません。そのため、オンライン診療を通じて、鹿児島にいながら全国の患者さまからのご相談に対応しています。毎週1〜2名は、オンラインでの性機能に関するご相談がありますね。東京など、都市部にお住まいの方からの相談も珍しくありません。
____実際にクリニックで性機能に関する相談や治療を受ける場合、どのような流れになりますか?
福元和彦先生まず、お電話かウェブサイトでご予約いただきます。当院は完全予約制です。来院される場合も、オンライン診療の場合も、基本的には30分程度のカウンセリング時間を設けています。どのようなことで悩んでいるのか、いつから悩んでいるのか、これまでの経緯、性的な経験やパートナーとの関係、生活習慣、心理的な背景など、多岐にわたる情報を丁寧にお聞きします。EDであれば、必要に応じて検査を行うこともあります。
その上で、問題の原因を探り、解決策を一緒に考えていきます。薬物療法(ED治療薬など)が有効な場合もありますが、それが全てではありません。とくに射精障害などの場合は、カウンセリングによる心理的なアプローチや、正しい性知識の提供、必要であれば具体的なトレーニング方法のアドバイスなどが中心になります。薬の処方だけで終わるのではなく、その方の背景にある問題を理解し、根本的な解決を目指すことを重視しています。
「人生を楽しむ」という視点を忘れない

____クリニックの雰囲気について教えてください。
福元和彦先生泌尿器科、とくに性機能に関する悩みは非常にデリケートですので、プライバシーへの配慮は最も重視しています。待合室などは明るく、来院しやすい雰囲気を心がけていますが、診察室は完全に個室で、他の患者さまと顔を合わせることがないように動線にも配慮しています。とくに男性患者さまの場合、女性の看護師がいると話しにくいこともあるかと思いますので、診察は基本的に私と患者さまの二人きりで行います。どんな些細なことでも、安心して本音で話していただけるような雰囲気作りを大切にしていますね。
____知識をアップデートするために、普段から行っていることはありますか?
福元和彦先生学会への参加や勉強会は当然ですが、むしろ私自身が積極的に「情報発信」を行うことを重視しています。正しい知識を広めることが、専門家としての責務だと考えているからです。例えば、鹿児島のラジオ局で、もう5年以上、毎週10分間の医療情報コーナーを担当させてもらっています。情報を発信するためには、常に新しい知識をインプットし続けなければなりませんから、それが結果的に自身の学びにもつながっています。
____診察を行う上で、最も大切にしていることは何でしょうか?
福元和彦先生患者さまにも、私自身にも、「人生を楽しむ」という視点を忘れないことでしょうか。幸い、私が主に扱っている性機能や排尿の問題は、直接的に命に関わることは少ない分野です。もちろん、悩みは深刻ですが、治療を通じてその悩みが解決することで、患者さまがよりハッピーになり、前向きに人生を楽しめるようになる。そのお手伝いをすることが、私の役割だと考えています。診察室が、ただ治療するだけの場でなく、少しでも明るく、前向きな気持ちになれる場であってほしいと思っています。
____最後に、この記事をお読みの患者さまへメッセージをお願いします。
福元和彦先生性の悩みは、非常にプライベートな問題であるがゆえに、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、決して恥ずかしいことではありません。ED、射精障害、性欲の問題、パートナーとの関係など、どんな些細なことでも構いません。私たちは、皆さんが性の悩みを気軽に相談できる世の中を作っていきたいと考えています。もしあなたが性のことで悩んでいるなら、どうか一人で悩まず、勇気を出して相談してみてください。オンライン診療も可能ですので、お住まいの地域に関わらず、全国どこからでもご相談ください。