目次
今回は、ピルがPMS治療目的の場合保険適用になるかということについて紹介するよ!!
- 「PMSがひどいのでピルを使いたいが保険適用かどうか知りたい」
- 「保険適用でどの程度の費用がかかるか知りたい」
PMSの症状緩和のためのピル処方で保険適用されるかどうか、どれくらいの費用がかかるのかと合わせて解説します。
・PMS治療に有効な薬
・PMS治療にかかる費用
・PMS治療におけるピル服用のメリット
・PMS治療におけるピル服用のデメリット
・PMS治療におけるピル服用方法と注意点
・PMS治療におけるピル服用に関するよくある質問
・PMS治療目的のピル処方には保険が適用される
PMS治療で使われるピルは保険適用対象
ズバリ!
PMS治療目的だったらピルも保険適用されるよ!
でもいろいろ条件があるみたい…!
「ピル=避妊目的」というイメージが強いものの、ほかにもさまざまな目的で使用される薬です。
避妊や生理が始まる日をズラすことはもちろん、子宮内膜症や子宮がんをはじめとした子宮関連の予防・症状改善。PMSや月経異常といった生理関連の症状緩和、ニキビなどの肌荒れ改善が挙げられます。
しかし、ピルだからといって必ず保険適用されるわけではありません。今回はPMSの症状改善・治療目的にピルを使用する場合に焦点を当て、ピル処方で保険適用される条件を見ていきましょう。
- ピルが保険適用される条件
- 処方の流れ
- ピルの種類によって保険適用かどうか変わる
治療目的によって適用される
ピルの処方において、保険適用されるかどうかは「ピルをどういった目的で使用するのか」によって異なります。
保険適用されない例を紹介しましょう。代表的な使い方である、避妊や生理日の調整を目的とした処方では原則として保険適用されません。
保険は基本的に病気や怪我を治療する目的に限って適用されます。「避妊は治療に該当しない」と判断されていることにより、自費扱いになっている、という仕組みです。
つまり、逆にいえば「治療する目的であれば保険適用される」ということになります。
PMSの場合、腰痛や腹痛、イライラといったさまざまな症状が心身に表われ、これらの改善に効果的とされているのが低用量ピルです。
そのため、PMSの症状を改善するために服用する低用量ピルを治療目的と判断されれば、保険適用となる場合があります。
「場合があります」という曖昧な表現になっていますが、その理由は医師の判断によるところが大きいためです。治療目的かどうかの判断はあくまでも医師がするものであり、処方されたとしても診断や検査の結果によって必ず保険適用になるわけではない点は理解しておきましょう。
処方の流れ
ピルをPMS治療目的で処方してもらうには病名の記載が必要になるため、婦人科での診察(問診や内診、各種検査など)を経て何かしらの病気であると診断されることが必須です。
また、症状の背景に婦人科系の病気や疾患が潜んでいないか、触診や腹腔鏡検査、MRI、子宮内膜細胞診など、さまざまな検査が実施される場合もあります。
ただし、処方対象に該当していても下記のような場合に該当する人は低用量ピルが処方されないか、服用に注意が必要になる場合があるためしっかりと確認しましょう。
- 持病
- 体質
- 年齢
- 喫煙の有無
- 肥満
さらに気をつけないといけないのは、治療目的であっても保険適用されない場合があるということです。
保険適用ピル
LEP(レップ:Low dose Estrogen-Progestin)と呼ばれる低用量ピルは、保険適用対象です。
生理関係の諸症状緩和に効果を発揮し、子宮内膜症や月経困難症などの症状緩和・治療に用いられるホルモン薬です。代表的な種類として、ルナベルULD・ヤーズフレックスなどが挙げられます。
ただし、LEPだからといって必ず保険適用されるわけではありません。先ほど説明した通り、症状の緩和や改善、治療において医師が必要だと判断した場合にのみ保険適用の対象となります。
保険適用外ピル
OC(オーシー:Oral Contraceptive)は保険適用されません。
避妊や生理日調整などを目的としたものは基本的にOCに分類され、自費(全額自己負担)の低用量ピルです。これらは「経口避妊薬」と呼ばれており、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
副効果として生理痛やPMS、ニキビなどの症状緩和も期待できることから症状によっては処方されることがあり、代表的な種類として、トリキュラー・ファボワールなどが挙げられます。
ポイント
- ピルも病気の治療目的なら保険適用される
- 治療目的でも保険適用外のピルもある
PMS治療に有効な薬
つらいPMSの症状改善や治療に効果的な低用量ピルですが、処方される薬はピルだけではありません。今後治療していく中で医師とコミュニケーションを取る際の選択肢として、覚えておくとよいでしょう。
ここではPMS治療・症状改善を目的として処方される代表的な薬を3つ、抜粋して紹介します。
- ピル以外にも処方される薬がある
低用量ピル
まずは、上記でも紹介したPMS治療の代表的な治療薬「低用量ピル」です。効果としては、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の働きで排卵を抑制します。
これにより、生理に絡む諸症状(腹痛や腰痛など)を抑えて月経量を減らすことや、卵巣がんや子宮体がんの予防効果も期待できる薬です。もちろん、避妊や生理日の調整といった、一般的にイメージされる効果も含みます。
漢方薬
PMSの治療目的で「漢方薬」を処方するところもあります。当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)や桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)などが代表的です。
一般的な薬に比べて副作用が少ないとされており、ピルと違って避妊効果があるわけではないため「妊娠はしたいけれどPMSの症状はどうにかしたい」という人や、「副作用が少ない方がいい」という人には重宝されています。
PMS治療や症状緩和を目的とした処方であれば保険も適用可能です。
ただ、漢方薬はピルのように症状が劇的に改善するというものではなく体質改善を軸とした治療法です。服用したからといって「楽になった気がする」程度の効果しかないこともあります。
日本ではPMS治療に漢方薬を処方するケースもありますが、世界的に見ても漢方薬がPMSに効果的だと考える意見は少数派と考えていいでしょう。
対症療法
ピルでPMSの症状を根本的に治療するのではなく、鎮痛剤・抑うつ剤・精神安定剤を使って症状を抑える対症療法を実施する場合もあります。
PMSの治療目的で処方されれば、鎮痛剤や抑うつ剤は保険適用可能です。漢方薬による治療と併用したり、まずは様子を見たりしたいといった場合は効果的な選択といえます。
ポイント
- ピル以外にも処方される薬はある
- 漢方薬は体質改善が主な効用
- ピルが不安なら対症療法という選択肢もある
PMS治療にかかる費用
PMSの治療は、ピルをはじめとした薬物療法と合わせて生活改善も合わせて実施します。理由としては、初診時にはしっかりとした問診や婦人科検診、さまざまな検査を実施して問題点や原因を特定し、治療方法を決めていくことが必要であるためです。
PMS治療にかかる診察料やピル代の相場を、以下の表にまとめました。
保険適用 | 初診料 | 検査代 | ピル代(1ヶ月分) |
あり | 約1,000〜3,000円 | (検査内容による) | 約1,500円(税別) |
なし | 約3,000円(税別) |
最初は1,000円〜3,000円(税別)の初診料と各種検査代、それに処方箋(薬代)がかかります。検査内容や種類によって検査費用が大きく変わってくるため一概にはいえませんが、保険適用で処方された一般的な低用量ピルの値段は、1ヶ月分で1,500円(税別)程度の自己負担です。(ピルの種類によって前後する)
そのため、保険適用の場合でも「初診料1,000円〜3,000円(税別)+検査代+1ヶ月分のピル代1,500円(税別)」がかかります。
ちなみに、保険が適用されないピルの場合は薬代が全額自費となりますが、その場合でも初診料や検査代は保険適用となるため、変わってくるのはピルの値段だけです。
「自費は高い」と思っている人も多いと思いますが、ピルの相場は全額自己負担(保険適用なし)で1ヶ月分3,000円(税別)ほどとなっています。
全額自己負担だとしても、思っていたよりは高くないかも…?
ポイント
- 保険適用のためには初診で検査が必要
- ピルは1ヶ月分で保険適用なら約1,500円、全額自費でも約3,000円ほど
PMS治療におけるピル服用3つのメリット
PMSの症状改善・治療以外の目的でも使用される低用量ピルですが、もちろんメリットとデメリットがあります。長く付き合っていかなければいけないからこそ、無理なく治療を継続していくためにも、その両方を覚えておきましょう。
ここでは、PMS治療におけるピル服用の代表的なメリットを3つ抜粋して紹介します。
- PMSをはじめとする生理症状の緩和
- 肌荒れ改善
- 更年期症状の予防と緩和
PMSをはじめとする生理症状の緩和
低用量ピルによって排卵を抑制することで、ホルモン変化を制御できるようになります。そのため生理周期を安定させて約1/3程にまで月経量を減らし、月経痛や子宮内膜症の抑制、貧血にいたるまで、幅広い生理症状を改善します。
肌荒れ改善
ホルモンバランスを整えるとともに男性ホルモンの分泌も抑制し、皮脂の分泌が制御されることによってニキビや肌荒れが改善します。
肌荒れに関しては飲み始めてホルモンバランスが安定するまでは効果を感じないため、2〜3ヶ月はかかると考えておきましょう。
更年期症状の予防と緩和
低用量ピルはホルモンバランスが自然に近くなるように調整されていることから、更年期症状の改善にも効果を発揮することがあります。
まだ年齢的に若く生理が来ている状況で更年期症状が認められる人にもおすすめです。
ポイント
- ピルはPMSをはじめとする生理症状や更年期症状の緩和、肌荒れ改善などが期待できる
PMS治療におけるピル服用3つのデメリット
メリットよりも気にしておかないといけないのが、ピル服用によって発生するデメリットです。
服用することでどのようなことが自分の身体に起こるのかを知り、概要だけでも理解しておくことで、投薬治療中のストレスも軽減されることでしょう。メリットと同じく、代表的なものを3つ抜粋して紹介します。
他にもデメリットとして挙げられることがあるため、処方してもらうときに細かく質問するようにしましょう。
- 血栓症のリスクがある
- 吐き気や頭痛が出る可能性がある
- 毎日服用する必要がある
血栓症のリスクがある
服用によって、脳卒中や心筋梗塞。足の静脈内でできた血液の塊が血流に乗って心臓や肺に到達して命を奪う血栓症といった重篤な病気を発症するリスクが高くなるといわれています。
しかしその発症率は通常の妊婦さんよりも低用量ピル服用者の方が低いことが証明されています。
ただし、いつもと違う頭痛や腹痛、胸痛、ふくらはぎのむくみや痛み、息切れを感じた場合はすぐにピルを処方した医師に連絡するようにしましょう。
吐き気や頭痛が出る可能性がある
服用開始からホルモンバランスが安定するまでの間は、吐き気や頭痛、むくみといったさまざまな症状が出る可能性があります。
しかし早い人で服用してから1ヶ月、遅くとも3ヶ月ほどでホルモンバランスが安定してくるため、その過程で徐々にそうした症状がなくなってくることがほとんどです。
確かに吐き気や頭痛はつらいですが、3ヶ月乗り越えられたらその後のPMS症状が緩和することを考えれば、デメリットよりもメリットといえるかもしれません。
毎日服用する必要がある
低用量ピルは決められた時間に毎日正しく服用して長期間継続することで、その効果を発揮するため、飲み忘れは厳禁です。
不規則な生活をしていたり、飲み会や会食、出張が多かったりする人にとっては「必ず決まった時間に服用する」ことは苦痛であり、デメリットに感じるかもしれません。
ポイント
- 血栓症や脳卒中などの確率が上がるが妊婦さんよりは低確率
- 吐き気や頭痛が出るものの3ヶ月以内にはおさまる
PMS治療におけるピル服用方法と注意点
デメリットでも少し触れましたが、低用量ピルには決まった服用方法があります。薬の効果を正しく得るためにも、しっかりと理解して習慣化するようにしましょう。
- ピルの服用方法
- 飲み忘れた場合の対応方法
ピルの服用方法
低用量ピルは毎日決まった時間に服用し続けて初めて効果を発揮することは、前述の通りです。習慣化したり常に持ち歩いたりすることは基本としても、飲み忘れずに自分が無理なく飲める時間を決めて、可能な限り同じタイミングで服用しましょう。
スマホのアラームを設定するなど、自分なりの飲み忘れ防止策を取ることがおすすめです。
飲み忘れた場合の対応方法
いくらアラームをかけていたとしても飲み忘れてしまったり、状況的に飲めなかったりすることもあるでしょう。
仮に1回飲み忘れてしまった場合は、気づいたときにすぐ飲み忘れた分を服用し、その日の分も通常通り服用してください。このときだけは、同じタイミングで2回分を1回で服用することになりますが、次からは忘れずに予定通りの時間に服用して、通常通りのペースに戻します。
2回(2日間)までは同じように、まとめて服用することで対応できますが、3回(3日間)服用できなかった場合は、処方した医師に相談して指示をあおいでください。
ついつい忘れてしまいそうだから気をつけないと…
ポイント
- 毎日決まった時間に欠かさず飲むことが重要
- 3日以上服用を忘れたら医師に相談
PMS治療におけるピル服用に関するよくある質問
初めての低用量ピルの服用は不安があって当然です。その不安を少しでも緩和できるように、PMS治療を目的とした低用量ピル服用に関してよくある質問を3つ抜粋して紹介します。
ここで紹介していること以外で気になることがあれば、初診のとき医師に遠慮なく質問するようにしましょう。PMS症状や低用量ピルの副作用に苦しむのも、服用し続けるのも自分自身です。
不安や心配事は早めに解消し、前向きに治療を継続できる状況を自分で作っていくことが大切になってきます。
- PMSは低用量ピルの服用で治るのか?
- オンラインでPMS治療目的の低用量ピルを処方してもらえるか?
- 低用量ピルを飲んでどれくらいでPMS症状が改善するか?
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PMSは低用量ピルの服用で治りますか?
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症状は改善します。妊娠中はPMSの症状が発症しないという事実に基づき、低用量ピルを使ってホルモンを調整して妊娠中に近い状況を擬似的に作り出しているからです。服用を始めた人の多くが症状の緩和を感じています。
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オンラインでPMS治療目的の低用量ピルを処方してもらえますか?
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病院によってはオンライン診療によって、自宅から薬を処方してもらうことが可能です。
実際オンライン診療を使っている人も多く、医師が正しく判断できれば低用量ピルを処方してもらえます。もちろん保険適用も可能です。
しかし冒頭でもお伝えした通り、医師が治療の必要性を判断するためには内診や触診などの検査が必要となります。そのため問診だけのオンライン診療では難しく、初回だけでも対面での受診が必要な場合がほとんどでしょう。
初診でしっかりと検査できていれば、2回目以降はオンライン診療による処方に対応してくれるところが比較的多いです。
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低用量ピルを飲んでどれくらいでPMS症状が改善しますか?
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個人差がありますが、服用を始めた次の月経から効果を感じる人が比較的多いです。ホルモンバランスが整ってニキビや肌荒れなどの改善効果を感じるまでには、3ヶ月ほど見ておくと良いでしょう。
ポイント
- 服用後翌月から症状が改善する人が多い
- オンラインでの処方も可能(初回は対面診断が必要なことが多い)
- 気になることは素直に医師に相談する
PMS治療目的のピル処方には保険が適用される!
低用量ピルの服用によってPMS治療をする場合、薬の種類によりますが基本的には保険適用されるということがお分かりいただけたことでしょう。
服用することによるメリット・デメリットもあり、忘れずに継続して毎日服用し続けることで始めて効果を得られるという特性も理解しながら、自分の生活リズムの中に無理なく取り入れていくことが重要です。
「PMSだと思っていたら、実は重大な病気が原因だった」という可能性もゼロではないため、毎月PMS症状で苦しんでいるなら、まずはかかりつけや一度かかったことのある産婦人科で話を聞いてみることをおすすめします。
少しの勇気で毎月の生活が楽になるなら、一度受診してみよう!