千代田線赤坂駅から徒歩3分の場所に所在する赤坂ファミリークリニック。小児科をご担当されている山本恵美子先生は、日々臨床の現場でご活躍されるかたわら、子育て中のファミリー世代へ向けたアウトリーチ活動にも積極的に取り組まれています。今回は、アウトリーチ活動にかける先生の想いや、赤坂ファミリークリニックでの診療内容について詳しくお伺いしました。
内科医の巨匠、日野原重明先生に憧れて医療の道へ

____先生が医療の道を目指すことになったきっかけについて教えてください。
山本恵美子先生父をはじめ、私の周囲にはいわゆる専門職の大人が多いといった環境がありました。そのため、私も子どもの頃から「手に職をつけたい」という思いがありました。
私は長女でしたので、下の兄弟や年下のいとこの面倒をよく見ていたんです。その様子を眺めていた周りの大人に「お医者さんに向いているね」と言われたことがあり、それから医師を目指したいと思うようになりました。 とくに医師を目指すきっかけになったのは、内科の大先生である日野原重明先生です。
「生活習慣病」という言葉を提唱し、時代に先駆け、予防医学を発展させた素晴らしい先生です。ご高齢になられてからも活動され、多くの人々を救っているお姿がすごくかっこいいと思いました。私も先生のようにたくさんの人を癒していけたらと思い、医学の道へ進むことを決意しました。
____先生は東京大学医学部、東京大学大学院で学ばれて、小児科と公衆衛生の専門としてご活躍されています。ご経歴についてさらに詳しく伺ってもよろしいですか?
山本恵美子先生大学院では「公衆衛生」という、社会全体を健康にすることを目的とした医学を学びました。地域や職域、政策などを通じて、世の中をより良くしていくことにフォーカスした学問です。
大学を卒業してから5年後に小児科の専門医資格を取得、小児科専門病院での勤務を経て、公衆衛生の道に入りました。公衆衛生の研究をしながら小児科の臨床を続けています。
出産後は大学院を卒業し、子育て世代向けにアウトリーチ活動も始めました。ご家族全員が健康に過ごせるよう、病気の予防や生活習慣の見直し、周囲に流されない自分軸での生き方についての情報発信をおこなっております。
多くの人が悲しい思いをする前に予防医学の力で守りたい

____先生がアウトリーチ活動を始めようと思われたのは、何かきっかけがあったのでしょうか?
山本恵美子先生重い病気にかかって亡くなられるお子さん方を何回も見ているうちに、すごく苦しくなった時期がありました。
その頃は、患者さまに向けた予防接種の啓発活動をしていました。予防接種は病気の発症や重症化を未然に防ぐのに有効で、予防医学の中でも一番大切な部分です。そういった啓発活動を通し、多くの人が悲しい思いをする前に防ぐことができる「予防医学の世界」が、私の中でどんどん大きな光になっていきました。そこから予防医学や公衆衛生の考え方を世の中に広げていくことに興味が湧いてきたんですね。 「重症になったり、苦しんだりする前に予防できることがあるんだよ」と多くの人に伝えることに、自分の活動の意義があると考えています。
____病気になる前に、病気のリスクそのものを減らすことに注力されているのですね。先生のアウトリーチ活動をどんな方々に届けたいですか?
山本恵美子先生子育て世代のお母さま、お父さまを中心に届けていきたいです。とくに、お子さまが最優先になって、ご自身の健康が後回しになっている方ですね。仕事や育児に忙殺される中で、「なんとなく体調が悪い」「風邪などの感染症にもかかりやすい」「イライラしやすい」といった方は多いと思います。薬を飲めば楽にはなりますが、それはあくまで一時的なもので、根っこの部分を治せているわけではありません。 ご自身の生活習慣を整えることで、根本から改善をしていく。それがどれだけ役に立つかということを、多忙な子育て世代の方々にこそ知っていただきたいですね。
____先生が現在お勤めされている赤坂ファミリークリニックでは、どのような診療を取り扱っているのでしょうか。
山本恵美子先生小児の一般診療に加えて、発達が気になるお子さまを対象とした栄養療法や音楽療法、認知行動療法を提供しています。医療面だけでなく生活面からのサポートもおこなっているのが当院の特徴です。
内科も標榜しておりますので、お子さまだけでなく大人の方にも栄養面のアドバイスを行ったり、ご希望の方には漢方治療のご案内をしたりしています。 さまざまな得意分野を持つ医師や心理師が在籍しているので、お子さまやご家族一人ひとりのお悩みに寄り添った多角的なご提案ができるかと思います。
多忙な子育て世代にこそ「自分自身を労わる大切さ」を伝えたい

____先生はInstagramなどのSNSも利用してアウトリーチ活動をされていますが、今後はどういった取り組みをされる予定ですか?
山本恵美子先生2025年以降、関わりのある保育園や子育て世代の助けになりたい有志の方々とコラボして、リアルな講座を展開することが決まっています。SNSを通した発信や、オンラインでのライフスタイル講座の準備も進めているところです。
____さらに活動の幅を広げられるのですね。最後に、患者さまや講演・講座を受講される方々へ向けて、メッセージをお願いします。
山本恵美子先生小児科の医師として治療をする中で、仕事も家庭も頑張りすぎて、ご自身が壊れかけてしまっているお母さまやお父さまをよく見かけます。
大変な状況かとは思いますが、そんな時にご自身のことも立ち返って大事にすることが、結果的に子どものためにもなるし、ご家族のためにもなると考えています。生活習慣の土台や自分らしい心の軸がしっかりしてくると、体力が上がって心も軽やかになり、時間に余裕ができ、気持ちの面でもプラスになります。 忙しい子育て時期だからこそ、自分自身を大切にしてほしい。そのことを一人でも多くの方にお伝えしたいですし、私も頑張っている皆さまを支えていきたいと思います。