地下鉄「表参道駅」A2出口から徒歩1分に立地する「ドルミーレデンタルオフィス表参道」。院長の鹿乃さやか先生は、「歯医者が怖くて治療に行けない」「嘔吐反射が強くて歯ブラシも辛い」そんな患者さまが安心して治療を受けられる環境を提供しています。今回は鹿乃先生に、歯科医師を目指したきっかけや、無痛歯科治療を始めた理由、患者さまがリラックスして治療を受けられるための取り組みについて、詳しく聞きました。
歯医者が嫌いな人でも通える歯科医院を目指す

____先生が歯科医師になったきっかけについて教えていただけますか?
鹿乃さやか先生父が歯科医師をしておりまして、私が高校生の時、実家の駐車場で患者さまから父への感謝の言葉を偶然耳にしたのが大きなきっかけです。「昨日まで痛くて眠れなかったけど、お父さんの治療のおかげで、今日はぐっすり眠れたし、治療も全く痛くなくて感動した」と、涙ながらに話しているのを見て、子ども心に「歯科医師って、なんてやりがいのある素晴らしい仕事なんだろう!」と強く感じました。その瞬間、「私も人の役に立ちたい、歯科医師になりたい」と思いました。
____実際に歯科医師になられて、どのように感じられましたか?
鹿乃さやか先生歯科医師になり、さまざまな患者さまとの出会いから、痛みや恐怖の感じ方が人によって全く違うことに気づかされました。大学病院時代には、いわゆる「歯科恐怖症」で治療が困難な患者さまや、歯ブラシを入れるだけでも「おえっ」となってしまう嘔吐反射の強い患者さまをたくさん診察しました。「『歯医者が怖い』『痛いのが苦手』という方が、世の中には何と多いのか!」と思ったものです。そのため、「何か自分にできることはないだろうか」「痛みに寄り添える歯科医師になりたい」と強く思うようになりました。
____そこから、クリニックを開業されるまでは、どのような経緯があったのでしょうか?
鹿乃さやか先生歯医者が苦手な方が、どうすれば安心して治療を受けられるかを考えました。まずは「歯医者は怖い」というイメージを払拭することが大事だと思ったのです。そこで、YouTubeで情報発信を行い、オーディションに応募し歯磨きの歌を作って発表もしました。またラジオやテレビに出演し、「こんな歯医者もいるんだよ」「歯医者は怖い先生ばかりじゃないよ」とアピールしました。
一方で、歯科治療への恐怖心を取り除く方法として、「静脈内鎮静法」が良いのではないかと考え、その技術を習得することに注力したんですね。大学病院で研修を積み、全体で1.3%程しかいない日本歯科麻酔学会認定医の資格を取得しました。「眠っている間に治療が終わり、起きた時には全てが終わっている」状態を作り出せれば、患者さまの負担は劇的に減ります。「歯科恐怖症の方でも安心して通えるクリニックを作りたい」「自分のやりたい医療を、患者さんに寄り添う形で提供したい」と考え、ドルミーレデンタルオフィス表参道を開業しました。
眠っている間に治療が終わる「静脈内鎮静法」

____先生が特に注力されている治療について、詳しく教えてください。
鹿乃さやか先生静脈内鎮静法*1に注力しています。静脈内鎮静法は、点滴から鎮静薬を投与し、眠っているような、非常にリラックスした状態を作り出す麻酔法です。「リラックス歯科」または「すやすや治療」と呼んでいます。全身麻酔のように完全に意識がなくなるわけではありませんが、深い眠りに近い状態になるため、治療中の音や匂い、痛みなどをほとんど感じることなく、治療を終えることができます。
____静脈内鎮静法はどのような方におすすめなのでしょうか?
鹿乃さやか先生歯科治療に対して強い恐怖心や不安感をお持ちの方です。例えば、過去のトラウマで治療が困難な方、パニック障害などがある方、強い嘔吐反射のある方、長時間口を開けているのが辛い方、痛みに極端に弱い方などが該当するかと思います。その他、親知らずの抜歯やインプラント手術など負担が大きい治療を受ける方、仕事が多忙のため複数回の通院が困難で短期間の集中治療を望む方にも大変好評です。静脈内鎮静法を用いれば、10回程度の通院が必要な治療も、1度に3回分の時間を取ることが可能です。
静脈内鎮静法には健忘効果もあるため、治療中のことをほとんど覚えていない方が大半です。治療が終わって目が覚めた時には、「もう終わったの?」という感じで、時間が飛んだように感じられます。患者さまにとっては、まさに「寝て起きたら治療が終わっていた」という体験になるでしょう。
____静脈内鎮静法を用いた治療の流れについて教えていただけますか?
鹿乃さやか先生まず、初診時にカウンセリングを行い、患者さまの全身状態、既往歴、服用中のお薬、アレルギーの有無などを詳しく確認します。次に、静脈内鎮静法について、効果や安全性、副作用の可能性、治療当日の注意事項などを説明し、同意書をいただきます。治療当日は体調を確認。血圧測定や酸素飽和度のモニターなどを装着後に、点滴を行い鎮静薬の投与をします。薬が効いてくると、30秒から1分程度で、うとうとと眠ったような状態になりますね。
当院では安全性への配慮から、必ずチーム医療で臨みます。私が麻酔担当として、治療中ずっと患者さまのそばに付き添い、血圧、心拍数、呼吸状態などを生体情報モニターで厳重に管理し、鎮静薬の量を適切に調整します。虫歯治療、抜歯、インプラントなどの治療担当は、副院長や他の経験豊富な歯科医師です。最低でも歯科医師2名、アシスタント1名の3名体制で治療を行います。
歯科治療が終了したら、鎮静薬の投与を中止します。薬の代謝には個人差がありますが、大体5分から30分、長くても1時間程度で意識がはっきりしてくるでしょう。完全に覚醒するまで、個室の診療チェアでゆっくり休んでいただきます。
意識がはっきり戻り、ふらつきがないことを確認したら、治療内容と次回の治療について説明を受けた後、帰宅となります。ただし、静脈内鎮静法を受けた当日は、安全のため、車や自転車の運転は控えていただかなくてはなりません。
ラポール(信頼関係)の形成を重視

____クリニックの雰囲気も一般的な歯科医院とは少し違う印象ですね。
鹿乃さやか先生「歯医者らしくない」ことを非常に意識しています。以前の歯科医院の内装を活かし、木目調のデザインや木の看板など、温かみのある雰囲気をベースにしています。患者さまがリラックスできる、おしゃれなカフェのような、アットホームな空間を目指しました。スタッフも皆、非常に優しく、ドクターも高圧的な態度は一切取りません。患者さまに寄り添い、安心して何でも話せる雰囲気作りを大切にしています。
____先生が知識を増やしていく上で普段から行っていることがあれば教えて下さい
鹿乃さやか先生日曜日の勉強会やセミナーへの参加、学会への出席は欠かしませんね。院内でも歯科医師、歯科衛生士を含めた勉強会を定期的に行っています。常に最新の知識と技術を取り入れ、チーム全体のスキルアップを図っています。
____診察を行う上で、先生が最も大切にされていることは何でしょうか?
鹿乃さやか先生患者さまの話をじっくりと聞くことを何よりも大事にしています。「何が苦手なのか」「なぜ歯科治療に対して『怖い』というイメージを持ってしまったのか」を過去の経験なども含め、患者さまから丁寧に伺います。その気持ちに寄り添い、できる限り信頼していただけるよう、コミュニケーションには特に時間をかけていますね。ラポールをしっかりと形成してから、治療をスタートすることが必要だと思っています。
____最後に、患者さまへメッセージをお願いします。
鹿乃さやか先生「歯医者が怖い」と感じることは、決して恥ずかしいことではありません。世の中には、そう感じている方が本当にたくさんいます。当院の患者さまも、「何十年も歯医者に行けなかった」「歯ブラシをお口に入れるだけでも辛い」といった悩みを抱えておりました。
私たちは、そのような方が、リラックスして歯科治療を受けられるよう、全力でサポートいたします。「寝ている間に治療が終わるなら……」と、ぜひ勇気を出して一歩踏み出してください。
カウンセリングだけでも構いません。まずは一度、悩みや不安な気持ちをお聞かせください。当院が、患者さまにとって「怖くない歯医者さん」になれたら、これほど嬉しいことはありません。