横浜駅から徒歩8分、ターミナル駅の喧騒から程よく離れた場所にあるポートサイド女性総合クリニックビバリータ。院長の清水なほみ先生は、統合医療を用いて女性のお悩みをトータルで解決に導く「コーチング医」として、日々の診療の他にも数々の情報発信を行なっています。そこに至る経緯や治療にかける想いについてお話を伺いました。
人の心の仕組みに関心
____先生が医師を目指した経緯を教えてください。
清水なほみ先生中学生の時にあったいじめが、ひとつのきっかけだったと思います。いじめられていた当時はとても辛かったのですが、その中である疑問が湧いてきたんです。特に悪いことをしたわけでもない人に対して、どうして人は意地悪することができるんだろう、と。 それから人間の心の仕組みについて学び始め、やがてカウンセラーという職業に興味を持つようになりました。
____最初はカウンセラーを目指していたんですね。
清水なほみ先生はい。でも実は私、子供の頃はバレリーナに憧れていて、レッスンを続けていたんです。 ところが中学生の頃、発表会の1ヶ月前に足を捻挫してしまって。整形外科に行っても湿布が出て「しばらく安静に」と。これでは困ると、知り合いに紹介された鍼灸の先生のところへ駆け込みました。すると3回鍼を打っただけで踊れるまで回復。東洋医学が持つ力を目の当たりにしました。 治療を受けながら私は、自分が目指していることを話しました。すると先生は「カウンセラーではなく、医者になれ」とおっしゃいました。さらに「治療法は西洋医学以外にもたくさんあるのに、それが知られていない。君が全てを使える医者になれ」とも。この時から私は統合医療を行う医師を目指すことにしたんです。
不調の裏にある問題にも目を向けて診療
____クリニックにはどのような患者さまが来院されますか?
清水なほみ先生メインは月経関連の症状ですね。月経不順、月経痛、生理前のイライラなど。おりもの*1 の異変や外陰部の痒みなども多いですね。 それと何科に行ったら分からない、何となく不調という方も一定数いらっしゃいます。いわゆる不定愁訴。 例えば食欲不振といっても、それは胃の問題ではないケースも多いですよね。女性の場合は、そういったよく分からない不調の背景に、パートナーからのDVやパワハラ、親の介護や子育ての悩みが隠れていることも多い。 あるいは、おりものの異変で繰り返し来院される患者さまによく話を聞くと、性交時にパートナーとの間に問題があることが分かったりするんです。 要するに、体の表面に表れている不調の裏にある生活上の問題にまで目を向けて診療をする。それがクリニックのコンセプトでもあります。
患者さまと一緒に治療法を考える
____クリニックの治療方針を教えてください。
清水なほみ先生当院は治療法をできるだけ患者さまに選んでいただくことを大事にしています。ですから、まずは選択の判断材料についてひとつずつ説明をすることから始めます。病状の解説、治療をしない場合に考えられること、治療法の選択肢、各治療法のメリットとリスク。その上でどれを選択しますか、とお伺いします。 例えば、更年期の症状は重度の鬱にならない限り、直ちに命に関わることはないんです。汗が大量に出るという症状であれば、それをご本人がどこまで気にされるかで治療法を選ぶことができます。マイルドに治療したいなら漢方をお勧めしますし、直ちに止めたいならホルモン剤を使います。 漢方を1、2ヶ月試してみて、十分な効果が得られなければ、それからホルモン剤へ移行する、というやり方もある。逆にホルモン剤を試してみて不快な症状が出たら、別の薬に変えることもできます。 そういった選択をするための判断材料を全て提示した上で、まずはどれにしますか?と聞くわけです。
____説明を聞いても分からない、という患者さまもいませんか?
清水なほみ先生もちろんいらっしゃいます。完全に先生にお任せします、と言われても説明もせずに薬だけ出すということはしません。 逆に最初から治療法を決めていらっしゃる患者さんもいますね。今はネットで色々な情報が取れますので、その情報が医学的にどう考えられるかも含めて伺った上で、主体的に治療を選択していただきます。
問題をほぐしながら解決へ導く
____クリニックのホームページでは、先生を「コーチング医」としてご紹介されていますね。
清水なほみ先生英語のcoachは直訳すると「指導する」。つまり導くという意味が含まれます。近いものにカウンセリングやアドバイスなどもありますが、意味合いは少し変わります。 例えば「あっちこっち不調です」と言う患者さまが来院されたとします。「そうですか、不調なんですね、辛いですね」と傾聴するのがカウンセリングのイメージ。「不調なら◯◯するといいのでは」とこちらの意見を提示するのがアドバイス。あくまでイメージなので正確には違いますけどね。 それに対してコーチングは、「あっちこっちって何箇所くらいですか?」「お腹が痛いのと肩が痛いのとめまいがするのが気になるんですね」「最悪の状態が10としたら、今はどのくらいですか?」「頭痛は鎮痛剤で3くらいになるんですね」「めまいがすると立ち上がれなくなるんですね」「まずはめまいから解決しましょうか」と。 こんな感じで、患者さまが「あっちこっち」と言っている問題をひとつずつほぐしながら解決に導いていく。これがコーチング医の役割です。
____こんがらがった糸を言葉を使って解きほぐしていく感じですね。
清水なほみ先生そうです。患者さまの表面に表れていることだけではなく、その症状の背景には何があるのかを探っていく。それが先ほども申し上げたように、パートナーとの関係や親の介護のこともあれば、幼少期からの刷り込みが関係している場合もある。「病は気から」を科学的に解析しているイメージかもしれませんね。
より良く生きるためにホルモンをコントロール
____先生が力を入れていることを教えてください。
清水なほみ先生女性としてどのような人生を歩んでいきたいか。それをサポートするツールとしてピル*2 やホルモン治療について情報発信をしています。 例えば、更年期の時に使うホルモン補充療法というのは、非常に良いツール。使い方を間違えなければ、とても強い味方になるもの。皆さんに勧めるわけではないのですが、使った方が楽になる。もしくはより生き生きと過ごせる人はたくさんいるのに、まだ使えてない人も多い。
____生き生きと過ごすためのホルモン療法。不調を治すだけではないんですね?
清水なほみ先生もちろん不調の改善がメインですが、QOL改善にも有効です。ピルで言えば、月経痛がつらい、生理の量が多い、生理前に不調が出る、生理のサイクルが不規則。このような方にメリットがある。 つまりホルモンをフラットに保つことによって、いろんな波が少なくなるんです。生理やホルモンに振り回されるのではなく、自ら主体的にコントロールしてみてはいかがでしょう、という提案ですね。
____生理現象については、自然に任せておく方がいいと思っていました。
清水なほみ先生人間が自然に任せて産めるだけ産んでいられた時代は、それでもよかったのかもしれません。でも今は社会的・文化的生活を続けていく上でバースコントロールが必要になっています。それをすることは果たして不自然なことでしょうか。文化的な生活の上では、月経も科学的にコントロールすることの方がむしろ自然だと思いませんか?
____新しい価値観ですね!最後に、患者さまへの思いをお聞かせください。
清水なほみ先生女性の人生をトータルでサポートをするのが私のミッション。あなたは今より幸せになって、今より輝けるポテンシャルを持っているはず。その人が持つ本来の輝きを当院で取り戻してほしいと思います。 何科にかかったらいいか分からない、という不調でお悩みの方にとって駆け込み寺のような存在でありたい。困ったときは、ぜひお越しください。
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