審美とセラミック治療の名医
鶴田剛士先生 
名古屋ルミナス歯科・矯正歯科

名古屋市中村区、黄金駅から徒歩5分の「名古屋ルミナス歯科・矯正歯科」。こちらにお勤めの鶴田剛士先生は、患者さまの長期的な歯の健康を目指す「バイオミメティクス修復歯科治療」と呼ばれる新しい治療のアプローチについて日々研究や発信をされています。海外で注目される治療理念を柔軟に取り入れながら診療に臨む鶴田先生の「新しい歯科治療の考え方」とはどのようなものか、その背景や想いについて詳しくお話を伺いました。

「歯で困る人をなくしたい」という想いで精密治療から「バイオミメティクス治療」へ

____先生が歯科医を目指したきっかけを教えていただけますか?

鶴田剛士先生きっかけと言えるものではないかもしれませんが、歯科医だった父を見てきたことです。歯科医師として活躍する父の姿を間近で見ているうちに、自分も歯科医の道に進みたいと考えました。高校卒業後に歯学部へ進学し、大学院では医学博士を取得しています。

____歯科医になってからはどのような治療を得意とされてきたのでしょうか。

鶴田剛士先生「歯で困る人をなくしたい、治療した歯が壊れるのを防ぎたい」という想いから、主にマイクロスコープ精密治療やマイクロスコープ精密根管治療を行ってきました。マイクロスコープ精密治療では、20倍まで拡大できる顕微鏡を用いることで治療精度を高め、再感染のリスクを最大限に防げるんですね。この治療法は感染に対して非常に有効的でした。従来の方法では治らなかった歯が治せることを経験して、とても驚いた覚えがあります。しかし同時に、次の悩みが出てきました。長期間、経過観察をしているうちに患者さまの歯が割れたり折れたりしてしまうことが起こったんです。これに非常にもどかしさを感じ「なぜ治療した歯が壊れるのか」を根本から見直す必要性を痛感しました。

ちょうどその頃コロナ禍になり、SNSを通じて驚異的なスピードで医学情報が巡ってくるようになったんです。そこで「自分がやっていることは、世界中からすれば20年くらいの差がある」ことに気づきました。それをきっかけに新しい歯科治療の考え方である「バイオミメティクス修復歯科治療」について学び、現在は臨床で実践しています。

____バイオミメティクス修復歯科治療とはどういったものなのでしょうか?

鶴田剛士先生「バイオミメティクス治療」は治療名というより、その考え方に特徴があります。従来の「問題発生後に対応する」治療とは異なり、徹底的に歯のひずみやゆがみを調べ、歯を強化してトラブルを未然に防ぐことを目的としています。具体的には「歯のゆがみがどのように発生するか、治療後にどう変化するか」を見ていきながら「弱い部分を補強し、どのように歯を再構築していくか」ことを考えます。バイオミメティクス治療を取り入れることで、今までとはまったく違ったアプローチで治療を進めることが可能になります。

歯科治療の新たなアプローチ「バイオミメティクス修復歯科治療」に注力

____「バイオミメティクス治療」は従来の治療法と比べて、どのような点が異なるのでしょうか?

鶴田剛士先生従来の治療法では、虫歯治療の際、材料に合わせて歯を削っていました。ですが、バイオミメティクス治療では虫歯を除去した後に歯の診断を行うため、材料に合わせて歯を削るという考え方をしません。患者さまのお顔の骨格や口内の状況を解析し、噛み合わせによってどんな力がかかってどんなひずみが起こるかなどを計算し、一人ひとりに合った口腔内や歯の設計を行います。
バイオミメティクス治療は「ひずみをなくしつつ、歯を強化して壊れにくくすること」と、治療したものは必ず壊れるので「治したところが壊れたときに再治療できるよう設計する」ことに特化しています。歯がなくなる前の段階から実践することで、治療のやり直しやトラブルを減らせます。

____先生がバイオミメティクス治療に魅力を感じるのはどういった点でしょうか。

鶴田剛士先生他の精密治療も決して悪いわけではないのですが、どうしても重症になってからのアプローチになりがちなんですね。なので「重症化する前にトラブルを回避できる」「もしトラブルが起きても負担の少ないやり直しが設計できる」点に魅力を感じました。治療のやり直しは歯にとても負担がかかるため、繰り返すとボロボロになってしまいます。完全に歯を失うことになる前に手を打っておけるのは、バイオミメティクス治療の利点だと考えています。

____具体的にはどのような技術を用いるのでしょうか?

鶴田剛士先生バイオミメティクス治療には2つの重要項目があり、ひとつが「ファイバー入りの強化プラスチックによる補修」、もうひとつが「完全防湿」です。「ファイバー入りの強化プラスチック」については、私たちの身の回りに使用されている強化プラスチックが歯科でも応用されるようになってきました。強化プラスチックは歯の内部の象牙質に性質が近く、生体代替材料として注目されています。虫歯と一緒に歯のひびが見つかることがありますが、これに対してファイバーを入れて歯を補修することが、良い状態を長く保つためにはとくに重要と考えられています。
しかし、これらの材料を歯と一体化させるには、ある程度時間をかける必要が出てきます。歯と材料がしっかり接着するまで、治療中に何もしない時間を5分以上要するためです。この時間が足りていないと歯と材料が接着せずエラーが生じてしまうので、全体の治療時間は最低でも1時間半~2時間ほどかかります。

もうひとつは「完全防湿」です。完全防湿とは、治療中に唾液や細菌などの外部汚染から歯を完全に保護する技術です。口腔内にゴムシートを張って治療する歯だけを露出する「ラバーダム防湿」という処置はすでに一部の歯科で行われていますが「完全防湿」ではさらに徹底した防湿を目指します。汚染のないクリーンな環境で作業することで、歯の内部のファイバーを使った治療の成功率が高まります。これによってセラミックが長期的に安定し、本来の丈夫さを発揮することができるんですね。

____これまでにない新しい考え方を取り入れた治療法なんですね。

鶴田剛士先生日本ではまだ広まっていませんが、バイオミメティクス治療は「歯科界の教科書が書き換わるほどの新しい考え方、治療スタイル」とする文献も2024年頃から現れました。新しい考え方ではありますが、研究自体は1950年代から進められていて、2000年代に基礎研究をベースに学術的な論争がありました。その後、2020年代にようやく世界中の歯科医師がこの方法を使用できるようになってきたという流れがあります。

私もSNSなどを通して現代修復治療を研究されている先生たちと情報交換し、新たなアイディアを積極的に報告しています。同業の先生方にもこの考え方に基づく歯科治療体系を知っていただきたいですし、患者さまにも「虫歯と診断された早い段階や、被せものという選択をする前にバイオミメティクス治療を実践すれば、トラブルを減らしながら歯を長く保てる可能性が高い」ことを伝えていきたいですね。

人生80年、より長くお口の健康が保てる治療を

____先生が名古屋ルミナス歯科・矯正歯科で注力されている治療はなんでしょうか。

鶴田剛士先生ラミネートベニアを使った審美治療に注力しています。ラミネートベニアとは、一般的に、歯の表面を最大0.7mmほど削って薄いセラミックを貼り付けることで歯の見た目を美しく見せる審美歯科治療です。当院では、もっとも歯へのダメージが少ない方法のひとつである「ウルトラシンベニア(ブラックフィルム)*1​​」を取り入れた新しい審美治療を行っています。
ウルトラシンベニアでは、患者さまのお顔と歯の状態の解析を行って自然な美しさを目指します。特徴は「ほとんど削らない」という点で、0.1mm以下という薄さの中で施術が可能です。そのため「見た目は綺麗にしたいけど、健康な歯を削りたくない」と考える方にも適しています。
ウルトラシンベニアを含むラミネートベニアは矯正治療と相性がよく、矯正治療では修正できない噛み合わせや見た目、色などの細部を仕上げることができます。これにより、見た目も整った健康な歯の状態が保てるようになるんですね。名古屋ルミナス歯科・矯正歯科は矯正治療に強いクリニックですので、それぞれの専門の先生と連携しながら治療を進めていきます。

____とくに、ウルトラシンベニアのどういった点に注目されていますか?

鶴田剛士先生歯へのダメージを最小限に抑えながら、見た目の美しさを実現できる審美治療であるという点ですね。私がこれまで力を入れてきたバイオミメティクス治療は「失われた歯を強化すること」と「歯にこれ以上ダメージを与えないこと」という、2つの大きな柱に支えられています。前者がファイバー入りの強化プラスチックなどを使用した修復治療であり、後者の考え方を象徴するのが、このウルトラシンベニア(ブラックフィルム)です。
従来の審美治療、とくにセラミック矯正では歯を大きく削る必要がありましたが、今は世界的にも「なるべく削らずに美しさを実現する」という流れに変わってきています。矯正とラミネートベニアの組み合わせが主流となる中で、ウルトラシンベニアはさらに侵襲性をおさえた次世代の選択肢です。そのため「歯を守ること」と「美しくすること」の両立を目指したい方にもおすすめできる治療だと思います。

____最後に、患者さまへメッセージをお願いします。

鶴田剛士先生今や「人生80年」といわれる時代です。その80年という目標で、長期にわたって患者さまのお口の中のトラブルが起こらない、綺麗な歯を保てるような設計やご提案をさせていただきます。ご事情があって今すぐの治療が難しい患者さまにも「どのタイミングで治療するといいか」などしっかり相談しながら、一緒に決めていくことを心がけています。口腔の状態だけでなく、年齢や経済状況まで考慮しながら、最善と思える方法を探っていきたいですね。当院では矯正をはじめ、歯科全般に対応しております。歯についてお困りのことがありましたら、ぜひご来院いただければと思います。

プロフィール
鶴田剛士先生
名古屋ルミナス歯科・矯正歯科/鶴田 剛士(つるた たけし)

広島大学歯学部歯学科卒業後、碧南市民病院歯科口腔外科研修、名古屋大学大学院医学系研究科を修了し医学博士を取得。以後、父が院長を務める鶴田歯科医院の副院長や愛知学院大学歯学部保存修復学講座の非常勤講師として研究や教育にも力を注いでいる。さまざまなセミナーで、現代修復治療(バイオミメティクス修復歯科治療)の普及に努め、歯科医療の発展に貢献している。

<資格>
医学博士
ICLSインストラクター

<所属学会>
日本歯内療法学会
日本口腔顔面痛学会
日本口腔インプラント学会
日本歯科保存学会

問い合わせ:052-351-9005

治療メニュー等


取材日:2024年12月16日

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◾️施術名:ウルトラシンベニア(ブラックフィルム)
◾️施術の説明:歯をほとんど削らずに非常に薄いセラミックシェルを貼り付け、歯の色や形、隙間などを自然に美しく整える審美治療です。
◾️施術のリスク:強い衝撃で割れる可能性、歯ぎしり・食いしばりで脱離の恐れ、知覚過敏など
◾️費用(税込価格)
8本:1,716,000円


ライタープロフィール
Kato Natsu
都内出版社勤務を経て、女性向けコンテンツの編集兼ライターとして活動する。現在は北海道に移住し、WEBメディアを中心に執筆中。