東京・恵比寿を拠点に、全国へオンラインで医療を届ける「ワンクリニック恵比寿」。「医療ダイエット薬」と専門家による「ダイエットコーチング」を組み合わせた、オンライン完結型の医療痩身プログラムを提供しています。「薬はあくまでツール。本当のゴールは、リバウンドしない習慣を身につけること」。そう語る院長の木谷貴博(きやたかひろ)先生に、独自のサービスを立ち上げるに至った経緯と、その哲学について、詳しくお話を伺いました。
医師家系からのスタート、そして起業家精神との出会い

____先生が医師になったきっかけはなんでしょうか?
木谷貴博先生私の家は代々医師の家系で、物心ついた時から、医師という職業が最も身近な存在でした。親から「医者になれ」と言われたことはありませんが、将来の仕事を考えた時に、やりがいがあり、人々の役に立ち、現実的なキャリアとして最もイメージしやすかったのが医師でした。正直に言うと、「食いっぱぐれなさそうだな」という気持ちもありましたね。
長崎大学を卒業後、東京大学の研修プログラムに参加しました。九州の大学出身で、東京には知り合いがほとんどいなかったので、1学年120人という大規模なプログラムの中で、多くの仲間と出会えたことは大きな財産です。また、最先端のアカデミックな環境に触れられたことも、医師としての最初のキャリアとして非常に良い経験になりました。
____そこから、起業という道に興味を持たれたのはなぜでしょうか?
木谷貴博先生研修医として働く中で、東京という場所柄、医師免許を持ちながら臨床の現場ではなく、ビジネスの世界で活躍されている方々と出会う機会が多くありました。学生時代から起業している方、上場企業の社長をされている方など、そうした方々と触れ合う中で「医師にはこんなキャリアの選択肢もあるのか」と大きな衝撃を受けました。もともと、既存の枠組みの中で働くよりも、何か新しいものを創り出すことに興味があったので、研修を終えた後は、まず企業の仕組みを学ぼうと考え、企業に所属する医師である「産業医」としてのキャリアをスタートさせました。
____そこからクリニック開業まで、どのような経緯があったのでしょうか?
木谷貴博先生実は、現在のサービスを始めるまでには、大きな挫折がありました。2021年頃、オンライン診療クリニックを開業するために、ベンチャーキャピタルからの資金調達を進めていたのですが、契約の一週間前に、突然その話が白紙になってしまったのです。すでに物件の契約やスタッフの雇用も進めていたため、まさに青天の霹靂でした。
なんとか開業費用だけは捻出していただけましたが、運転資金はゼロ。大規模な広告を必要とするオンライン診療をすぐに始めるのは困難でした。そこで、当時コロナ禍であったこともあり、まずはクリニックの場所を活かして「発熱外来」を始め、なんとか事業を軌道に乗せました。そして、コロナが落ち着いたタイミングで、満を持して、当初から構想していたオンラインでの医療ダイエット事業を本格的にスタートさせることができたのです。
「楽して痩せたい」の先へ。本質的な体質改善を目指す

____なぜ医療ダイエット薬を活用したダイエットコーチングをしようと思ったのでしょうか?
木谷貴博先生実は小学生の頃、学年で一番太っていたんですね。その後、運動を習慣にすることで体型をキープしてきましたが、太りやすい体質であることは自覚していました。オンライン診療の事業を考える中で、当時、新しいGLP-1受容体作動薬といったダイエット効果の高い医薬品が登場し、注目を集めていました。私自身も試してみて、その分かりやすい効果に、大きな可能性を感じました。しかし、多くの患者さまを診るうちに、一つの課題が見えてきました。それは、薬をやめた後の「リバウンド」です。
ダイエット薬は、いわば「テスラの自動運転」のようなものです。「目標体重」という目的地さえ設定すれば、「正しい食事管理」といった運転の仕方を知らなくても、ある程度まで連れて行ってくれます。しかし、薬をやめた時、つまりバッテリーが切れた時、自分でハンドルを握る方法を知らなければ、目的地にはたどり着けません。薬はあくまで、正しい食事管理や生活習慣を身につけるための強力なサポートツールです。本質的な解決のためには、患者さま自身が運転の仕方を学ぶ必要がある。そう考え、専門家によるマンツーマンの「ダイエットコーチング」を組み合わせるという、現在のサービスの形に行き着きました。
____クリニックに来院される患者さまに、多いお悩みを教えてください。
木谷貴博先生「痩せたい」「できれば楽して痩せたい」というお悩みがほとんどです。そして、医療ダイエット薬は、その願いをある程度叶えてしまう力があります。しかし、私たちは、その先にある本質的な課題解決を目指しています。これまで自己流のダイエットで失敗を繰り返してきた方や、流行りのダイエット法に振り回されてきた方にこそ、生理学に基づいた、一生使える正しい知識と習慣を身につけていただきたい。そうした思いで、一人ひとりの患者さまと向き合っています。
____先生が特に注力されている治療について教えてください。
木谷貴博先生お薬とダイエットコーチングを組み合わせた、メディカルダイエット*1です。単に痩せるだけでなく、その過程で「なぜ太るのか」「どうすれば太らないのか」という身体のメカニズムを学んでいただき、ご自身の力で体型をコントロールできるようになること。それが、私たちの提供する治療のゴールです。
____治療の流れについて教えてください。
木谷貴博先生まず、オンラインでの初診を受けていただき、問診や既往歴の確認の上で、患者さまの状態に合ったダイエット薬を処方。お薬を使い始めると、多くの方は最初の1ヶ月で食欲が自然に抑えられ、スムーズに体重が落ちていきます。そして、お薬の効果で食事管理がしやすくなったタイミングで、専門のダイエットコーチによるマンツーマンのコーチングをスタートします。
週に1回のセッションを通じ、食事内容の具体的な見直しや生活習慣のアドバイスを行います。これを少なくとも3ヶ月間続けることで、無理なく確実に、正しい食習慣を身体に定着させることが期待できるでしょう。薬の力を借りながら、正しい「運転の仕方」を身体で覚える。この二人三脚のアプローチが、リバウンドを防ぐ鍵となります。
正しい情報提供と、本質的な価値の追求

____クリニックの特徴について教えてください。
木谷貴博先生当院は、オンライン診療に特化しています。オンライン診療というと、簡単な問診だけで薬が処方される、というイメージがあるかもしれません。当院では、対面のクリニックと同じように、丁寧な診察とアフターフォローを重視しています。薬を処方して終わりではなく、服用後の体調の変化や効果の出方をきめ細やかに確認し、患者さまが安心して治療を続けられるよう、サポートする体制を整えています。
____先生が知識を増やしていく上で普段から行っていることがあれば教えて下さい。
木谷貴博先生最新の医学論文に目を通すことはもちろんですが、他の先生方がSNSなどで発信されている情報も、常にチェックするようにしています。医療の世界も、情報は日々アップデートされていきますから、常にアンテナを張っておくことが重要だと考えています。
____診察を行う上で大切にしていることはなんでしょうか?
木谷貴博先生「しっかりとした情報提供」です。お薬には、良い面もあれば、副作用などの注意すべき面もあります。とくにオンライン診療では、患者さまが不安にならないよう、考えられるリスクや、効果が出にくいケースなどについても、包み隠さず、丁寧にご説明することを心がけています。
____患者さまへメッセージをお願いします。
木谷貴博先生最近、医療ダイエット薬に関するネガティブな報道を目にすることが増え、不安に感じている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、問題となっているケースの多くは、不適切な使用法や、お薬への理解不足が原因です。医師の管理のもと、正しく使用すれば、効果が期待できる治療法です。
オンライン診療については、価格だけでなく、何かあった時にきちんと相談できる、信頼できるフォロー体制が整っているクリニックを選んでいただくことが、ご自身の健康を守る上で何よりも大切です。当院では、皆さまが安心して、本質的な体質改善を達成できるよう、全力でサポートさせていただきます。