都営地下鉄三田線「白山」駅から徒歩1分にある「わたなべ皮膚科」は、一般皮膚科から皮膚外科、形成外科まで幅広い治療が受けられるクリニックです。院長の渡邉 荘子先生は形成外科医、皮膚科専門医でいらっしゃいます。患者さまや仕事に真摯に向き合われている渡邉先生に、クリニックについてお伺いしました。
____先生が形成外科医を目指した理由を教えてください。
渡邉荘子先生外科的な手技に興味があり、手先を動かすことが好きだったので形成外科医を目指しました。形成外科は失ったものを作り直したり、元に戻したりする科なのですが、そこにもとても魅力を感じましたね。
____その後、形成外科から皮膚科に移られていますが、その経緯を教えてください。
渡邉荘子先生勤務時間が一番大きな理由です。形成外科は長時間の手術が入ったり、場合によっては夜中に緊急手術をすることもあります。 形成外科に入って2年目のときに息子が生まれたので、そういった働き方を続けることが難しくなりました。形成外科の仕事が大好きで続けたいと思っていたのですが、子育てをしながら研鑽を積むことが難しく、もどかしさを感じていました。
____なるほど。ライスステージの変化に伴い働き方を見直さなくてはいけなくなったんですね。
渡邉荘子先生はい。そこで興味をもったのが皮膚科でした。皮膚科は形成外科とオーバーラップする分野もでてくるんですよね。自分のペースで働ける環境もあるし、形成外科に生かせる知識も身につけられるだろうと思って皮膚科を学び始めました。
____皮膚科を始められたころは、いつか形成外科に戻りたいというお気持ちだったのでしょうか。
渡邉荘子先生そうですね。形成外科が大好きだったので、最初皮膚科に移ったときは形成外科に戻るための勉強も兼ねていました。でも1〜2年皮膚科に携わることで皮膚科の奥深さに気づいたんです。 最近では遺伝子の解析も進んでいるので、皮膚疾患の原因が分かったり、治療法もどんどんと新しいものがでてきたりするので、学んでいくうちに皮膚科にもやりがいを感じるようになって、皮膚科専門医を取得しました。
にきび治療は根気よく続けることが大切
____クリニックに来られる患者さまに多いお悩みを教えてください。
渡邉荘子先生にきびが圧倒的に多いですね。一昔前までは、にきびの市販薬で対応される方も多かったのですが、最近は「まずは皮膚科へ」と受診される方が増えています。 今はネットなどでも色々な情報を得られるため、にきびがにきび跡になると治しにくいことを理解している方が増えたこともあるのかなと思っています。クリニックに気軽に来てもらえるのは嬉しいですね。
____にきびで悩んでいる方が普段から気をつけるべきポイントはありますか。
渡邉荘子先生お悩みがあったら皮膚科に頼って欲しいなと思います。ご自身でなんとかしようと色々やって、こじらせてしまっている方って意外と多いんですよね。そうすると、改善するのにも時間が余計にかかります。なので、まずは皮膚科においでください。 そして残念ながら現段階では1〜2週間でにきび肌がピカピカになるようなお薬はなく、にきび治療は根気が必要です。根気強く治療を続けていると綺麗になっていくので、半年〜一年くらいの長いスパンで治療を続けて頂ければと思います。 にきびは命に関わる病気ではないものの、ひどくなると気持ちが落ち込んでしまったり、QOLに深く関わってくるものだと思うんですよね。だから、にきびくらいで皮膚科にいくのも…などとは思わずに、気軽に相談にきてほしいです。
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多汗症で悩む方が増えている
____にきび以外で多いお悩みはありますか?
渡邉荘子先生最近増えているなと思うのは、多汗症の方ですね。部位もさまざまですが、脇や手足の多汗症で悩まれている方が多いように思います。
____多汗症は元々の体質なのか、何かがきっかけでなるのかどちらなのでしょうか。
渡邉荘子先生もともとの体質の場合が多いのですが、例えば身体の中に甲状腺の病気があって、続発的に多汗症になることもあるので、そこの見極めは大切です。 続発性のものですと、いくら皮膚科で治療をしても改善には繋がらないので、そういった場合は原発の疾患に対する治療を専門科へ依頼します。
_____患者さまが増えているというのは、つまり多汗症の方が増えているのでしょうか?
渡邉荘子先生というよりは、にきびと同じように知識を得たり、啓発によって受診される方が増えたからではないかと思います。 これまでは「ただの汗っかきで皮膚科に行くのも…」と思っていたような方々が、それが多汗症という疾患のひとつだということを知り、受診されるケースが増えてきたのかなと思います。
____多汗症の治療にはどういったものがあるのでしょうか。
渡邉荘子先生部位によってことなりますが、腋窩(ワキ)の多汗症の場合はゲルのお薬やシートタイプのお薬があります。まずはそれを使ってみて、効果を感じられなければボトックス*1を打つというステップが一般的ですね。
____保険診療の選択があるのは嬉しいですね!手足の多汗症はどうでしょうか。
渡邉荘子先生手足は結構むずかしくて、腋下の多汗症に使用する外用薬は現時点では保険適応ではないんです。 手足に対しては塩化アルミニウムローションの外用薬(保険適応外)を使用したり、漢方を併用したり、イオントフォレーシという弱い電流を流すことによって汗をおさえる治療法があったりします。
治療を続けてもらえるよう、信頼関係を大切に
____先生が特に勉強をされてきた皮膚疾患などはありますか。
渡邉荘子先生開業していると専門分野だけを診療していくことが難しくはあるのですが、他院とは違うところでいうとアトピー性皮膚炎の治療で生物学的製剤の注射であったり、JAK阻害薬という飲み薬を出せるところかなと思います。 これらのお薬は皮膚科学会の承認を得たクリニックでしか処方ができないのですが、こうしたちょっとステップアップした治療ができるクリニックは今のところ限られているので、特徴かなと思います。
____最後に、患者さまと向き合うときに大切にされていることを教えてください。
渡邉荘子先生クリニックが混んでいるときは難しいこともありますが、お悩みだけでなく、患者さまの生活背景などもお話を伺うようにしています。
そういうところから疾患の原因がわかることもありますし、お互い信頼関係を築く上でも深く理解し合うことが大事なのかなと思います。
そうして、信頼して頂いた上で通い続けてもらえたら嬉しいなと思っています。