美容外科の女性医師パイオニアとして長年にわたり第一線を歩む田中亜希子先生。院長を務める二子玉川の「あきこクリニック」には、先生に熱い信頼を寄せる多くの患者さまが、日々足を運んでいます。今回は、先生の代表的な施術である、特殊な吸収糸を組み合わせることでエイジングケアに効果を発揮する「あきこ式®糸リフト」のお話から、美容外科業界に対する思いにいたるまで幅広くお伺いしました。
治療の結果が見える美容外科は私に性に合っていました
___先生が医療の道をめざしたきっかけ、また、美容医療に進んだ経緯を教えていただけますか?
田中亜希子先生私はもともと、先天性股関節脱臼という病気で生まれ、幼い頃に数度の難しい手術を受けた経験があります。その当時から医療、中でも手術に興味を持っていたように記憶しています。
その後、医学生となり、大学病院の産婦人科に研修医として勤めていたのですが、あまりの激務のため変形性股関節症になってしまい、転科を余儀なくされました。その時に偶然目に留まったのが美容外科の求人です。以前より興味を持っていた分野ということもあって応募し、これが美容医療の道に進むきっかけとなりました。
実は当時、美容医療の業界は一般的にあまりクリーンなイメージが持たれていませんでしたので、正直に言えば、まずは様子を伺うという気持ちだったんです。ですが、実際には指導体制もしっかりしていてやりがいも感じられる分野でした。なにより、治療の結果が目に見えてわかる、というところが私の性分に非常に合っていました。
___そもそも美容外科に興味を持っていたということですが、詳しくお伺いできますか?
田中亜希子先生大学の5、6年生の時、形成外科の実習で手術用顕微鏡を使ってマイクロサージェリーを行ったんです。その際、マウスの血管を一度切り、もう一度繋ぐという手術をしたところ、とてもうまくいったんですね。教授から「すごく才能があるよ」と言っていただいたこともあり、形成外科医を志しました。ただ、今では考えられませんが、その頃女性は結婚や出産などで人事を乱すと思われていた時代。「どうしても入りたいなら、一生子どもは作らないと誓約してください」と言われ、断念するしかなかったという経緯があったんです。
形成外科には進めませんでしたが、美容外科はそのカテゴリーの一つ。その意味でもともと興味のあった分野で仕事ができると思いました。
___マイクロサージェリーのお話をお聞きすると、美容外科医は手先がかなり器用ではないと務まらないと思うのですが。
田中亜希子先生そうですね。私たちが向き合う、特に顔の治療は0.1ミリの世界ですので、少しのずれも許されません。傷口を縫う際にも、その傷跡を限りなく分からないようにする必要がありますので、手先が不器用な人には向いていないかもしれませんね。(笑)
___それを伺うと、美容外科医はかなりリスクを抱える仕事だと感じます。
田中亜希子先生そうも言えますが、逆に私にとっては、治療の結果が見えるところが性に合っています。併せて、これまで美容外科医として20年以上やってきた中で、大きなクレームや、ましてや訴訟も一度もなく、患者さまにもご満足いただいているのだと思います。
「あきこ式®糸リフト」は患者さまのお顔に合わせたエイジングケア
___美容外科の女性医師パイオニアとして、長年第一線を歩まれている先生ですが、患者さまからの希望が多い施術は何でしょうか?
田中亜希子先生当院は開院当初より、私と同年代の患者さまが多く来院されます。当然、私と共に年齢を重ねていかれますので、やはりエイジングケアに寄った施術、具体的には糸リフトやボトックス、ヒアルロン酸などが多いですね。
___その中でも、「あきこ式®糸リフト」が代表的ですが、具体的にはどのようなものでしょうか?
田中亜希子先生取り扱っている糸の種類が豊富だということが大きな特徴です。一般的なクリニックですと、1種類か2種類程しか取り扱っていませんが、当院では特殊な吸収糸をうまく組み合わせることで、5種類の糸リフトを実現しています。
具体的には、まず「アルテミスリフト」*1。PLLA(ポリ乳酸)やPDO(ポリジオキサノン)を使用した糸リフトで、当院では3種類のアルテミスリフトを、患さま様の症状や骨格に合わせ組み合わせています。
次に「ウルトラV-リフト」*2。これは極細針に装着されているPDO製の極細吸収糸を使用。
3つ目の「Aリフト」*3
はカニューレコグタイプのPLA(ポリ乳酸)製の糸を、4つ目の「Lリフト」*4はPCL(ポリカプロラクトン)製の棘付きの糸を使用します。
最後に「テスリフト ソフト」*5。PDO製の3Dメッシュとフックが一体化した特殊な構造の糸で施術を行います。
糸リフトはデザインが命。患者さまお一人おひとりのお顔を拝見し触れさせていただいた瞬間に、どの糸をどこに何本使用するかということを判断してデザインするのも、当院オリジナル だと言えます。
___エイジングケア目的で糸リフトの患者さまが多いということですが、施術が難しい場合もあるのでしょうか?
田中亜希子先生当院で行う糸リフトは、年齢とともに下がってきた脂肪を元の位置に戻したり、脂肪を萎縮させて引き締めたりということを得意として行っているのですが、一番難渋するのは皮膚が薄くて脂肪も少なく、げっそりしてる方ですね。ある程度の脂肪があり、弾力があるようなお顔の方が施術はしやすいと言えます。
___先程のお話の中で、先生と同年代の患者さまが多いとおっしゃっていましたね。
田中亜希子先生そうですね。40代や50代の患者さまが多く、全体の9割がリピーターです。このクリニックを開院して15年目になりますが、その前の大手クリニックからのお付き合いが続いてる患者さまもいらっしゃいます。開院してから通うようになった患者さまも、10年以上のお付き合いという方がとても多いですね。
エイジングケアというのは終わりがないと言いますか、どうしても定期的なメンテナンスが必要になってきます。
___定期的に長期にわたって通うとなると、患者さまの金銭的な負担も大きくなると思うのですが。
田中亜希子先生当院では、初めていらっしゃった患者さまに対し、まずはご予算をお聞きします。どのぐらいの期待値でどのぐらいのご予算かによって、ご提案する内容の優先順位が変わるからです。要するに、患者さまがどこまで希望されるのかの確認が大切になります。
例えば、レーザーなどの医療機器を使いシミを取ったり、ハイフでたるみを改善したりというところをめざすのか、それとも注入治療や糸リフトも選択肢にあるのか、さらに手術までお考えなのか、患者さまによってそれぞれです。継続していくことを前提に、美容にどのぐらいの費用を掛けられるのかによって治療内容が変わります。
もし、患者さまが一番気になっているところが眉間のしわだとしたら、ファーストチョイスはボトックスになります。ボトックスの一部位の費用は33,000円で、これは半年に1度くらいのペースで続けていけば良いものですので、年間の費用はご理解いただけると思います。仮に、もう少し余裕があるという場合は、患者さまのお申し出があればご相談させていただいています。一度の施術でとても高額な費用が掛かるのではないかと思われがちですが、そうではないということもお分かりいただきたいですね。
定期的な治療として患者さまが一番多いのは、肌にハリを出したり、シミやくすみを取ったり、赤みや毛穴を目立たなくする効果のあるIPLという光治療ですが、こちらも一回あたりの費用が33,000円で、毎月通っている方もおられます。
___患者さまが求めるものを確実に汲み取るには、カウンセリングがとても重要だと思いますがいかがでしょうか?
田中亜希子先生特に初回の患者さまに関しては、加齢のメカニズムについてのお話なども含め、時間をかけてカウンセリングを行っています。
おそらく、一般の方のほとんどが、加齢と共にお顔の土台である骨が変形していくということをご存知ないんですね。年齢を重ねるに従ってどの部分に凹みが起き、それに伴い脂肪や皮膚がどう変化していくかということを丁寧にご説明します。同時多発的に起きる様々な事象に対し、一つひとつどのような治療が必要なのかということを最初にお伝えした上で患者さまのご希望をお聞きし、最終的なご提案をさせていただいています。
女性医師のパイオニアとして感じてきた美容医療の進歩と若手育成の必要性
___これまでのご経歴の中で美容医療の進歩も感じてこられたと思いますが、いかがでしょうか?
田中亜希子先生美容外科医になった頃と比べると、私たちができる手数が全く違います。その頃は、注入材として牛のコラーゲンを使いちょっとしたシワの改善はできましたが、その他はメスを使った手術が多かったんです。もちろん、光治療器もありませんでしたし、シミ取りのレーザーもこの業界に入って何年か経ってからできました。
そう考えると、一昔前は「歳だから仕方がない」と受け入れるしかなかったことにも対応できるようになり、今後もますます多様な技術が進歩していくと思います。
また、美容医療へ一歩を踏み出すことが、以前に比べて気軽になっているとも感じます。時代と共に求められる治療の内容は変わっていくかもしれませんが、今まで以上に美容医療が身近な存在になると考えています。
___美容クリニックの数もかなり多くなってきていると思いますが、信頼できるクリニックを見極めるポイントはありますか?
田中亜希子先生InstagramやTikTok、Xなど、クリニック選びの入り口は正直どれでも良いと思っています。ただ、そこで気になるクリニックが見つかった際には、必ずホームページを見ていただきたいです。
その中で医師紹介がないクリニックは、まず除外してください。医師の顔写真や医師年数、専門医の表記など詳しい経歴を確認し、信頼できると思ったら、まずは相談だけしてみる。実際に会ってみると相性が合わないという場合もあります。どんなに素晴らしい医師でも、全ての方にとって100%の名医だとは限りません。先生の話し方や提案する内容、それからクリニックの雰囲気というのも大切なポイントです。違和感を感じたのに契約をしてしまう、という方もいらっしゃいますが、断る勇気も必要だと思います。
___先生は、第110回日本美容外科学会の学会長もご経験されていますが、美容外科業界に対しての思いをお伺いできますか?
田中亜希子先生人生がとても早回しになっていると感じます。初期研修の2年が終わるとすぐ美容外科医になり、大手のクリニックに1、2年勤めただけで開業するという先生が今とても増えていますが、開業医としてやっていくには経験値が足りなさ過ぎると感じます。
例えば大手クリニックに5年程勤めれば、かなりの症例数も積めますし、なによりトラブル症例も経験できます。開業したらそれらの全てを自分で解決しなければなりませんが、勤務医ならば自分でできない場合は上司が解決してくれます。上司がどのように解決しているのかを学び、それから開業しても決して遅くはありません。
一方で、若手に勉強するように強いても、その機会がなければ学ぶこともできないと思い、「あきラボ」という若手医師育成を目的とした勉強会を月に一度開催しています。毎回様々なテーマを設け専門の先生方に講演していただいており、その際、参加医師が臆さずに何でも質問できるような雰囲気づくりにも気を配っています。
___最後に、美容医療に興味を持つ方々に方にメッセージをお願いします。
田中亜希子先生美容医療に正しく向き合ってるクリニックはたくさんあります。怖いところでも、高額を請求されるところでもなく、気軽に相談できるクリニックも多くありますので、ぜひご自分のお気に入りのクリニックを見つけ、足を運んでいただければと思います。
もし東京にお住まいで、どこのクリニックに行けばいいのか分からないという方は、ぜひ当院にお越しください。