京王線「千歳烏山駅」北口徒歩5分の場所に立地する「腎内科クリニック世田谷」。腎臓内科・透析医療と美容医療を両立させるユニークなクリニックです。ここで美容・再生医療外来を担当するのが、35年以上のキャリアを持つ松下洋二(まつしたようじ)先生です。とくに「シミ治療」においては、オーダーメイド治療を提供しています。今回は松下先生に、その長い医師人生と、奥深いレーザー治療の世界について、詳しくお話を伺いました。
僻地医療への思いと、芸術への憧れ。形成外科医としての歩み

____先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか?
松下洋二先生私の生まれ故郷は、瀬戸内海に浮かぶ本当に小さな島です。医療機関と呼べるものも、ほとんどない環境で育ち、医師がいないことの不便さや大変さを、幼い頃から肌で感じてきました。「いつか、人の役に立ちたい」との思いが、医師を目指す、最初のきっかけとなりました。
____数ある診療科の中から、なぜ形成外科の道を選ばれたのでしょうか?
松下洋二先生もともと絵を描いたり、美しい形を鑑賞したりすることが、大好きだったのです。医師の道に進むにあたり、その「形」を扱う分野はどこだろうと考えたとき、行き着いたのが「形成外科」でした。
生まれつき耳がない方のために軟骨から耳を創り出したり、事故で顔の骨が潰れてしまった方の顔を修復したり、皮膚がんを切除した後に、その部分をきれいに再建したり。人体の「形」を美しく機能的に創り上げる形成外科は、私の芸術への思いと医師としての思いが重なる分野でした。
____形成外科医として、どのようなご経験を積まれたのですか?
松下洋二先生大学病院や地域の総合病院などで、約7年間、形成外科医として勤務しました。顔面骨骨折の修復や皮膚がんの再建、唇が割れて生まれてくるお子さん(口唇口蓋裂)の手術など、数多くの症例を経験しました。
ただ、もともと、大きな病院でキャリアを終えるというよりは、いつか自分のクリニックを持ちたいという思いがありました。クリニックで患者さまと向き合うとなると、そうした大きな再建手術よりも、美容的なニーズの割合がどうしても高くなります。そこで美容医療の分野も本格的に学ぶことを決意しました。
35年以上前になりますが、当時は、美容外科専門のクリニックも、まだ数えるほどしかありませんでした。当時最も先進的な取り組みをされていた先生の元に、「住み込み」で弟子入りし、美容外科・美容皮膚科の基礎を徹底的に学びました。
保険診療の安心感と、美容医療の専門性。「敷居の低さ」が最大の魅力

____先生のクリニックには、どのようなお悩みを持つ患者さまが多くいらっしゃいますか?
松下洋二先生一番多いお悩みは「シミ」ですね。年齢層としては、40〜60代の方が中心です。当院は、もともとが腎臓内科・透析医療を専門とする保険診療のクリニックです。美容部は、2024年の5月に新設されたので、外観や入り口は「美容クリニック」のような派手な雰囲気ではありません。「美容クリニックは敷居が高くて入りにくい」と感じておられる方が、一般的なクリニックの雰囲気を求めて抵抗なく入ってきてくださいます。
____先生が特に力を入れている「レーザー治療」について詳しく教えていただけますか?
松下洋二先生「シミ」と、ひとくくりにされがちですが、医学的には、大きく6種類に分類されます。そして、その種類ごとに治療法が全く異なるのです。シミ治療は、最初の「診断」が何よりも重要です。患者さまのお顔にあるシミが、どのタイプなのか、あるいは複数のタイプが混在しているのかを、正確に見極めなければなりません。例えば、いわゆる一般的な丸く、はっきりとした老人性色素斑であれば、私がピンポイントでレーザーを照射*1します。
ただし肝斑の場合は、非常に弱い出力のレーザー「レーザートーニング」を、顔全体に、優しく、繰り返し当てていきます。この治療は、照射技術そのものは簡単なため、レーザーの出力と、ショット数を医師が決定すれば、施術は専門のトレーニングを受けた看護師が担当します。
このように、シミの種類によって、使うべき機械も、当てる強さも、担当者も、全て変わってきます。シミ治療は簡単そうに見えて、実は、非常に複雑な知識と経験が問われる分野です。
____実際にクリニックでレーザー治療を受ける場合、どのような流れになりますか?
松下洋二先生まずは、私が直接、お肌の状態を拝見し、シミのタイプを診断します。当院では皮膚の白さ計測による美白治療の効果判定も可能です。ご希望の方には、肌診断装置を用いて、より客観的に、お肌の状態を分析することもできます。その診断に基づき、患者さまのご希望を伺います。「一番気になる、この大きなシミだけを取りたい」「顔全体のくすみを、トーンアップしたい」「全部、きれいにしたい」など、ご要望は様々です。
診断と、治療方針にご納得いただければ、その日のうちに、施術を受けていただくことが可能です。施術前には必ず同意書をお渡しして、その内容を丁寧にご説明し、ご納得いただいた上で、サインをいただき、治療を開始。
レーザーを強く当てた部分は、ご自宅で絆創膏を貼っていただいたり、お薬を塗っていただいたりする必要があります。施術が終わりましたら、改めて、「いつから何ができて、いつまで何をしてはいけないか」を、詳しくご説明し、注意事項を記載した用紙をお渡しします。
「流れ作業」ではない、一人ひとりに向き合う温かい医療を

____診察を行う上で、先生が最も大切にされていることは何でしょうか?
松下洋二先生何よりも、患者さまの希望を最優先することです。美容医療は、病気の治療とは異なり、ゴールは一つではありません。医師の目から見て、「こちらのシミの方が目立つ」と感じたとしても、患者さまご本人が「いや、私は、こっちのシミが気になる」とおっしゃれば、そちらを優先します。
もう一つ、大切にしているのは、患者さまの「ライフスタイル」を詳しくお伺いすることです。美白治療は「紫外線との戦い」でもあります。例えば、日常的にゴルフや屋外でのスポーツをされる方に強いレーザー治療を行うと、かえって色素沈着などのリスクを高めてしまうことがあります。その場合は、あえて治療の時期をずらすか、別の治療法をご提案しますね。患者さまの生活背景までを深く理解してこそ、適切な「オーダーメイド治療」がご提案できます。
____最後に、この記事をお読みの患者さまへメッセージをお願いします。
松下洋二先生当院は、マニュアル化された「流れ作業」の医療ではなく、患者さまの、肌の状態、ご希望、ライフスタイルに、真摯に向き合い、最適な治療を、オーダーメイドでご提案します。美容医療は決して特別なものではありません。風邪をひいた時に、かかりつけ医に相談するように、シミやお肌の悩みも気軽にご相談いただきたい。患者さまの人生に、そっと寄り添う身近な存在でありたいと願っています。

