大阪を代表する繁華街、心斎橋にあるTAKA LADIES CLINIC。診療時間が夜間・土日と珍しく、悩みを抱える忙しい女性たちには本当にありがたい存在です。これまでの医療の常識にとらわれず新しい挑戦を続ける、院長の永井孝尚先生にお話を伺いました。
MBAで得た視点を医療の現場に
____先生が産婦人科の医師になられた経緯を教えてください。
永井孝尚先生大学時代にとても尊敬していた先輩に誘われ産婦人科医になりました。研修医時代は毎日のように病院に泊まり込みながら、医局の派遣をこなしてスキルを磨きました。本当に大変な日々でしたが、産婦人科医という仕事の素晴らしさは今も感じています。
____クリニックを開業された経緯を教えてください。
永井孝尚先生私の実家が人口過疎地域にあって、産婦人科医がどんどん医局から引き上げられていく様子を目の当たりにしました。それでもお産が必要な方はいる。どうしたら役に立てるかと、しばらく模索していた時期がありました。 その後、MBA取得のために大学院に通いました。そこでさまざまなことを学ぶうちに、 一般的な医師とは少し違った視点で世の中を見られるようになった んです。 例えば、急いで婦人科にかかりたいけれども、学校や仕事があってクリニックの営業時間内に行くことができない。あるいは休日にトラブルがあり、居ても立っても居られない、ということはよくあることです。 ところが一般的なクリニックの診療時間では、そのような方をカバーできません。それであれば 夜間や土日でも駆け込める婦人科の総合窓口のようなクリニック を作ろうと思い、心斎橋にオープンしました。 診療時間は月曜日が17時から23時まで、金曜日が19時30分から23時まで、土曜日が14時から22時30分まで、日曜日が11時から20時30分までとなっています。
夜間・土日でも高い技術を提供
____忙しい女性には本当に嬉しいですね!どのような患者さまが来られますか?
永井孝尚先生夜間は比較的若い方が多く、土日はもう少し上の年齢層で平日に忙しく働いている方が多いですね。 30代、40代の患者さまは、不妊治療のご相談が多いです。妊娠に対して何らかの危機感を感じていて、 今後の指針のようなものが欲しいという方が増えてきています。 生殖医療の専門病院へ行くとなると、費用的にも時間的にもとてもハードルが上がるので、その 入口として気軽に相談に来れる という点が当院の良さでもあります。 また他のクリニックでは扱うことが少ない診療内容として、子宮頸がんの精密検査があります。検診で異常が認められた場合、その後大きな病院で再検査をするのが一般的ですが、当院では夜間や土日でも精密検査が可能なので、仕事を休む必要がありません。
____夜間や土日でもきちんとした医療を受けられるのは、本当に安心ですね。
永井孝尚先生 当院は例えるなら「夜にまともな食事が出せる定食屋」です。 「夜間・土日診療だから技術面はこのくらいで仕方ない」で済ませるのではなく、一般的なクリニックよりもレベルの高いサービスを幅広く揃えているつもりです。 それに、従来の診療スタイルからあぶれてしまった患者さまの受け皿として、新しいシステムを作っておけば、同じような思いを持つ先生や、次の世代に引き継いでいくこともできます。考えられるようで誰も考えなかったシステム作りを進めていきたいですね。
生活の質を高めるためにピルを
____クリニックではピルの処方もされていますね。
永井孝尚先生ピル *1は 生活の質を高めるために飲む薬 です。生理痛や月経前症候群をやわらげる効果があります。 これはある講演会で聞いた話ですが、今の女性が色々な病気を抱えているのは、生理の回数が多すぎるということが原因の一つと考えられるそうです。 例えば昭和初期と現在の一人当たりの平均出産数で比べると、今の女性は明らかに出産回数が少ない。つまり今の女性の方が生理の回数が多いということになります。 これが女性の体に何らかの問題を起こしているのではないかと考えられており、予防策としてピルを飲んで生理をコントロールすることも悪くないのかもしれないと思っています。
____ピルは飲み方が難しいイメージがあります。
永井孝尚先生 服薬のリテラシーを上げていかないといけない と思います。今はオンラインで手軽にピルを手に入れることもできますが、リスクの説明までされていないことも多い。 飲み始めたものの途中で飲み忘れてしまい、出血が止まらないと駆け込んでくる若い患者さまも結構います。安直にピルを出している医者側のモラルも問われていると思います。
こちらの記事もおすすめ
乳がん検診にかかる費用は? 費用相場や受診方法を要チェック
産婦人科のゼネラリストを目指して
____先生が最も得意な治療は何でしょうか。
永井孝尚先生私は一般的な婦人科の診療から、不妊治療、人工妊娠中絶手術など、一通りのことがこなせます。今後は生殖医療の専門医の資格を取る予定ですし、クリニックが休みの日は、産婦人科がない地域でお産や手術をしています。 目指しているのは、特定の分野のスペシャリストではなく、 産婦人科の全てにおけるゼネラリスト です。総合産婦人科というようなイメージでしょうか。 さらに今後は企業に出向いて、働く女性たちに向けた講演活動をしていきたいと考えています。
____どのような講演でしょうか。
永井孝尚先生企業に入社すると新入社員教育の一環として、キャリアアップのための話がされますよね。でもそのキャリアの話の中に子供の話が抜けていることが多いんです。 出産を含めたキャリアの自己設計を早い段階からしておいた方がいい。当たり前のように赤ちゃんができて、当たり前のように産めると思っている女性も多いですが、ちょっと危機感が欠けていると感じることもあります。 このような話をすると怒られたり、嫌われたりすることもありますが、「あの医者があんなこと言ってたな」くらいに頭の片隅にでも残ってくれればいいと思っています。
____耳の痛い話ですが、とても大切な話だと思います。最後に、先生が患者さまと向き合うときに心がけていることを教えてください。
永井孝尚先生現状を誰が聞いても分かりやすく説明することです。私の得意なことの一つに、全く違うものに例えて話をする、というものがあります。例えば卵巣年齢をUFOキャッチャーになぞらえて話すことがあり、「分かりやすい」と言っていただけます。 それと医師として言うべきことは、しっかりと言います。 例えば性病にかかった患者さまには、先のことまで考えて気をつけるようにお話をすることもあります。それで来なくなってしまう方は仕方がない。戻ってきてくれる方は戻ってくるし、困った時にだけ頼ってきてくれても全く構わないと思っています。