日比谷線「六本木駅」、東京メトロ日比谷線「六本木」駅からそれぞれ徒歩1分のところにある今泉スキンクリニック。美容注入施術を専門とするクリニックの院長、今泉明子先生の注入技術は国内外でも高く評価されており、全国より患者さまが足を運んでいます。 また先生が配信しているYouTubeチャンネルは、その内容のわかりやすさとご自身の明るいキャラクターで多くのファンを惹きつけています。今回のインタビューでは、美容皮膚科を志したきっかけから、先生が得意とされるヒアルロン酸注入施術とその効果に至るまで、詳しくお聞きしました。
患者さまが納得できる治療を行うため、美容に即した皮膚科の専門医に
___まず、今泉先生が医師をめざしたきっかけを教えてください。
今泉明子先生私は幼い頃から、アトピー性皮膚炎と気管支喘息があり病院通いを続けていました。特にアトピー性皮膚炎は重症で、顔は真っ赤になり痛みも酷く、勉強しようにも集中力が全く続かない状況でした。そのことがきっかけで、同じ症状の方がいなくなればと思い医師をめざしました。
また、父が内科医だったということも理由の一つです。医師として昼夜問わず働き、患者さまに「ありがとう」と言われている様子を幼い頃から間近で見て、誇りに思ったのと同時にやりがいのある仕事だなと感じていました。
___中でも皮膚科医をめざした理由は何だったのでしょうか?
今泉明子先生大学で医学の勉強を始めた頃は、実は皮膚科ではなく血液内科を専門にしようと思っていたんです。当時は骨髄移植が始まったばかりで、まだまだ白血病で多くの方が亡くなる時代でした。日々、様々な症例と向き合っていましたが、血液内科で診る病気の多くが皮膚にも症状が現われることがわかり、皮膚科医には全身を診る知見が必要と実感し皮膚科医をめざしました。
___そこから美容皮膚科に進んだのには、どのような経緯があったのでしょうか?
今泉明子先生皮膚科医として歩んでいましたが、本来私が医師をめざすきっかけとなったアトピー性皮膚炎やニキビは、保険診療で症状への治療はできても、「痕」に対する治療ができないということに矛盾を感じるようになったんです。私自身、大学生の頃にアトピー性皮膚炎の状況でニキビができてしまい大変な思いをした経験があるんですが、そこで本当に気になるのは、症状が治まった後に「痕」をどう治していくかということ。結局、そこまで治せず治療を諦める患者さまもいました。特に女性は、痕を隠そうと首にスカーフを巻いたり、マスクを付けたり、着たい服も着れなくなってしまう。さらに化粧で隠そうとして悪循環になったりと、最終的に心を閉ざしてしまうことも起きてしまいます。
ですが、患者さまが納得できる治療を行うのが医師の仕事です。患者さまのQOLを高めるためにも、美容に即した皮膚科の専門医がいてもいいのではないかと考え始めたんです。
___その後、今泉先生はアメリカへ留学していますが、それはなぜだったのでしょうか?
今泉明子先生私が美容医療を志した頃の日本では、「皮膚科の専門医が美容医療に携わるなんてとんでもない」と考えられていました。今では一般的ですが、当時は後ろ指をさされるような感覚でしたね。当然、国内には美容医療を学ぶ場所もなく、皮膚科医が先進的な治療を行っていたアメリカで知識や技術を身につけようと留学を決意しました。
肌の地固めをする「肌育」ができる美容皮膚科
___皮膚科ではなく、美容皮膚科だからこそできる治療とはどういうものなのでしょうか?
今泉明子先生アトピー性皮膚炎やニキビなどを含め、完全にゼロの状態にするのが難しいというのが皮膚疾患の特徴です。ただ、そこに美容医療のクッションを入れることで、限りなくゼロに近づけることはできます。
例えば、アトピー性皮膚炎の方は、普通の方に比べて皮膚の水分量が3分の1程しかありませんが、それを補う治療は皮膚科ではできません。一方、美容皮膚科では、その水分量を上げ、また免疫力を高める「肌育」、つまり肌の地固めをする治療が可能です。そうすることで、二次的にアトピー性皮膚炎が起きにくくなったり、ニキビの炎症が早く治まったりという効果が期待できます。ですので、皮膚科の治療である程度症状が治まった時点で、美容皮膚科の治療に繋げていくのが一番良い方法だと考えています。
___美容皮膚科で、肌の地固めをする「肌育」ができるということを知らない患者さまも多いと思うのですが。
今泉明子先生おっしゃる通りですね。当院は、皮膚科と美容皮膚科を併設しており、皮膚科にはアトピー性皮膚炎を含め肌荒れの方が大勢来院されていますが、どうしてこのような症状が出ているのか、ということを理解していない患者さまも多いんです。言い換えれば、私たち医師がその理由や原因を正しく伝えていないということです。皮膚疾患には、遺伝的な要素や、環境も大きく影響しますが、まずはそれを見極め患者さまに伝えること。その上で肌荒れしないように、あるいは免疫力を上げるためにはどうすれば良いのかということを提案する必要があると感じています。
美容皮膚科では、肌の地固めをすることで外部からのストレスを少なく抑えることができます。そのことを患者さまにも理解できるように伝えてこそ、医師も患者さまも納得できるWin-Winの関係が築けるのだと思います。
患者さまが望むゴールを見据え、治療ステップを共にプランニング
___患者さまとのWin-Winの関係性を築くためには、具体的にどのようなことが必要でしょうか?
今泉明子先生患者さまがゴールとして何を求めてるのかを、医師がまず理解することです。その際、本当に美容皮膚科の治療が必要なのかどうかを判断することも大切です。例えば、肌荒れの治療の場合、患者さまが症状の改善だけを望んでいるのか、さらにその先のゴールまで望んでいるのかによって、皮膚科で診るのか、あるいはそれ以後も美容皮膚科で対応するのかが決まります。つまり、患者さまが思い描いているゴールをまず確認した上で、そこに向かってのステップをプランニングしていくことが医師の役割なんです。私が保険診療を続けているのには、そのような理由もあります。
___患者さま自身の、クリニックを選ぶ力や見極める力も必要だと感じるのですが、そこでのポイントはありますか?
今泉明子先生保険診療をやっていなくても、美容皮膚科だけで充分に対応しているクリニックもありますので、そこはあまり重要ではないかと思いますが、あえて挙げるとすれば3つほどポイントがあります。
まず1つ目は、例えばレーザー治療だけ、注入治療だけというように、治療メニューの少ないクリニックを避けること。我々医師は、知識があれば患者さまをきれいにするために必ず治療を行いたくなるものですので、逆にメニューが少ないということは美容皮膚科医としての知識が豊富ではないということです。
2つ目は、医師の経験とクリニックの対応。ホームページの医師の経歴に、これまで勤めた病院名だけが書かれて、具体的な専門分野の記載がないのは要注意です。このことは何かしらのトラブルが起きた時に適切な対応ができるかどうか、ということにも関わってきますので確認すべきです。また、受付など、コンタクトをとった際のスタッフの対応も信頼できるクリニックかどうかの判断ポイントです。
さらに3つ目として、医師の診断能力。これは診察を受けて初めて判断できることではあるんですが、患者さまの聞きたいことに答えられるかということ、つまり肌の状態をアセスメントした上で、適切なオプションを提案できるかが重要だと言えます。
ヒアルロン酸注入で実現する「美容貯金」
___今泉先生はご自身のYouTubeチャンネルで、40代50代の方の肌悩みについて多数配信しておられますが、実際にクリニックでその世代から寄せられる悩みは何が多いのでしょうか?
今泉明子先生ダントツで「シミ」です。人からは指摘されなくても、自分の目につきやすく気になる、しかも治療のハードルが低そう、という理由からだと思います。その中の7〜8割の方は、短期間で結果を求めたいという理由からレーザーや光治療を選び、残りの2〜3割の方は、根本的にシミのできにくい肌を作りたいと塗り薬での治療を選択します。
次に多いのが 「たるみ」。40代50代になると、どうしても漠然とたるみが気になり始めるという方が多いんです。対応としては、ハイフやヒアルロン酸、ボトックス、糸リフトなどになりますが、その方のライフスタイルや、定期的に通院できるかなどによっても、どの施術を選ぶのかが変わります。例えば、1回で明らかな効果を出したいというのであれば注入治療を、注入に抵抗があればハイフ治療を選びます。
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ヒアルロン酸注射とは? 多くのパーツに効果がある美容施術って本当
___それらの中でも、40代50代の方が最も効果を実感できる治療は何でしょうか?
今泉明子先生絶対的にヒアルロン酸 *1 ですね。というのも、先程お話しした、肌の地固めができるからなんです。他の治療でリフトアップができたとしても、紫外線を浴びたりストレスを感じたりすると、肌のハリや弾力を形成するコラーゲンが減少し、年齢とともにエラスチンも減っていきます。そこで、ヒアルロン酸を注入すると、それらのベースを増やす「美容貯金」ができるんです。貯金を重ねて肌の地固めをすることで、たとえダメージを受けたとしても、その影響が少なく済みます。もし、将来を見越して何か一つだけやっておくとすれば、ヒアルロン酸をおすすめします。
___ヒアルロン酸注入による「美容貯金」ですが、いつ頃からスタートするのが良いんでしょうか?
今泉明子先生30代後半くらいからですね。なぜかというと、老化のサインが少しずつで始め、ヒアルロン酸量が半減するのがその頃からなんです。明らかに変化が起きますので、その前に相談していただくと良いかもしれません。
また医師から見ると、患者さまが年齢を重ねたときに、顔にどのような変化が起きるのかがわかりますので、どこを治療すれば良いのかもアドバイスすることが可能です。逆に、患者さまが希望しても、私がその方のエイジングサインではないと判断すれば、はっきりとお伝えすることもできます。
___ということは、患者さまが求めるものと先生が考えるものとの擦り合わせが大切だということですね。
今泉明子先生それがカウンセリングです。患者さまお一人おひとりが望んでいるゴールを実現するためには、丁寧なカウンセリングが欠かせません。当院では、私自身がじっくりお話を聞き、患者さまと一緒に治療のプランを立てるということを大切にしています。
美容医療でネガティブパーツをポジティブパーツに
___最後に、美容医療に興味を持っている方にメッセージをお願いします。
今泉明子先生美的魅力は、誰もが持っているものです。ご自身の顔が好きになれないという方もいますが、チャーミングなポジティブパーツは必ずあります。美容医療はポジティブパーツをそのまま活かし、ネガティブパーツを治療するもの。全てを変えるのではなく、ネガティブパーツのみをポジティブパーツに変え、その方が向上していくための医療だということをお伝えしたいですね。
「外的なものなんて」と思われるかもしれませんが、外的な要素が変わると内面も変わります。自分に自信が持てたり、自分の顔が好きになったり、前向きになったりと、自分自身の内側の感情が変化するんです。その意味からも、ぜひ一歩踏み出していただければと思っています。