東京都中央区日本橋、東京メトロ「三越前」駅から徒歩6分に位置する「mimiレディースクリニック三越前」。キャリアと妊娠のタイミングに悩む女性たちの悩みに沿った治療を行っています。院長の干場みなみ先生は、「不妊に悩む前に、できることがある」という強い思いから、女性が自身の身体を知り、未来を選択するためのサポートに尽力しています。今回は干場先生に、医師を志したきっかけや、妊活を始める前に知っておくべき大切なことについて、詳しくお話を伺いました。
若い女性たちに、自分の未来のために今できることを伝えたい

____先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか?
干場みなみ先生もともと、人のために何かをして、その方に喜んでもらうことが好きでした。そんな私を見て、歯科医である母が「医学の道に進んでみてはどうか」とアドバイスをくれたのが最初のきっかけです。人のために働き、感謝される喜びを直接感じられる医師という職業は、まさに私が求めていたものだと感じ、この道を選びました。
____なぜ「妊活」に力を入れるようになったのでしょうか?
干場みなみ先生研修医を終えた後、新宿区にある大きな総合病院で勤務しました。そこでは、若くして重い性感染症にかかってしまう方々を診る一方で、仕事を懸命に頑張り、気づけば40代になり、「いざ子どもが欲しい」と思った時にはなかなか妊娠できずに悩む、多くのキャリア女性にも出会いました。この両極端な現実を目の当たりにし、女性の妊娠には年齢というタイムリミットが厳然と存在すること、そして様々な病気がその可能性を脅かすことを痛感しました。
折しも、日本の少子化が社会問題として叫ばれる中で「私にできることは何だろう」と考えました。もちろん、不妊に悩む方を助ける「不妊治療」は非常に重要です。しかし、それ以上に大切なのは、「女性たちが不妊症になってしまう前の段階で、ご自身の身体について正しく知る機会を提供することではないか」、そう思い至ったのが、現在の活動のきっかけです。InstagramやYouTubeで情報発信を始めたのも、「若い女性たちに、自分の未来のために今できることを伝えたい」という思いからでした。
____そこからクリニック開業まで、どのような経緯があったのでしょうか?
干場みなみ先生女性の人生をトータルでサポートできるようになるため、産婦人科の各分野を体系的に学ぶことを意識しました。まず、当時は都内でもトップクラスのお産件数を誇る病院で「産科」を徹底的に学び、母子の命に向き合いました。次に、子宮筋腫や卵巣嚢腫といった婦人科疾患の手術を数多く手掛ける病院で「婦人科」の技術を磨きました。そして最後に、不妊治療専門のクリニックで、体外受精を含む高度な生殖医療の知識と技術を一年半かけて習得しました。
お産、婦人科疾患、不妊治療という、女性の一生に関わる一連の流れをすべて経験したことで、それぞれのステージで何が重要か、そしてそれらがどうつながっているのかを深く理解できました。また、婦人科の患者さまの多くは20代から50代の女性であり、その世代の美意識にも応えたいという思いから、美容皮膚科についても学び、開業に至りました。
「知ること」から始める、未来のためのプレコンセプションケア

____先生が特に注力されている治療について教えてください。
干場みなみ先生私が力を入れているのは「妊活」や「ブライダルチェック」*1です。最近では、東京都の助成金制度なども後押しとなり、「プレコンセプションケア」*2も広まってきています。これは、将来の妊娠に備えて、自分の健康状態や妊娠に関する知識を得て、必要な対策を行うことです。「ブライダルチェック」は結婚を控えた人だけが受けるもの、というイメージが強いかもしれません。一方プレコンセプションケアは、結婚の予定の有無にかかわらず、将来子どもを持ちたいと願うすべての女性に受けていただきたい、より広い概念のケアです。
働く女性が増え、結婚や出産の年齢が上がっている現代において、何も知らずに時を過ごし、いざという時に「妊娠しにくい身体だった」と知るよりも、20代、30代のうちに一度ご自身の身体の状態を把握し、できることをしておく。その重要性を、私は多くの患者さまに伝えていきたいと考えています。
____実際にクリニックでプレコンセプションケアを受ける場合、どのような流れになりますか?
干場みなみ先生まず、ご予約の上ご来院いただき、問診票にご記入いただいた後、私が直接お話を伺います。お悩みや将来のライフプランなどを確認し、必要な検査についてご説明します。検査は、採血や内診(超音波検査)などが中心で、その日のうちに行います。そして、10日後に検査結果が出ますので、再度ご来院いただき、結果説明の時間を設けます。超音波検査で子宮や卵巣に子宮筋腫や子宮内膜症などの病気がないかを確認したり、血液検査で「AMH」という、卵子の残数を反映した数値を測定したりします。また、ご自身が気づかないうちに感染していて、将来の妊娠や赤ちゃんに影響を与える可能性のある性感染症や、風疹などの抗体の有無も調べます。
結果説明では、検査結果の数値一つひとつが、何を意味しているのか、そしてそれが将来の妊娠にどう関わってくるのかを、詳しくご説明しますね。もし、何らかのリスクが見つかった場合、例えば、卵子の数が同年代の平均より少ない、といった結果が出た場合には、今後の選択肢について一緒に考えます。すぐに不妊治療を開始した方が良いのか、あるいは手術が必要な病気が見つかれば、まずはその治療を優先するべきか、といった具体的なアドバイスをさせていただきます。
____年齢とともに妊娠しにくくなるのは、なぜなのでしょうか?
干場みなみ先生大きく二つの理由があります。一つは、ご自身の年齢と同じだけ、卵子も年を重ね、卵子が老化して質が低下すること。先ほどのAMHでも分かるように、女性が一生のうちに排卵できる「卵子の数が減っていく」ことです。これらは、残念ながら現代の医学では止めることができません。もう一つは、年齢とともに子宮筋腫や子宮内膜症といった、妊娠の妨げとなる病気にかかるリスクも高まります。だからこそ、早めに自分の状態を知ることが大切です。
____パートナーと一緒に相談に行くこともできますか?
干場みなみ先生ぜひ一緒に来ていただきたいです。とくに結果説明の際には、パートナーの方にも同席していただくことを強くおすすめしています。妊娠は、決して女性一人の問題ではありません。お二人の身体の状態を正しく理解し、これからのライフプランについて一緒に向き合っていただくことが、何よりも大切だと考えています。
不安な気持ちに寄り添い、安心へと導く

____クリニックの雰囲気や特徴について教えてください。
干場みなみ先生婦人科に対して、どうしても緊張や不安を感じてしまう方が多いので、少しでもリラックスしていただけるよう、内装は女性らしい、柔らかい雰囲気を意識しました。クリニック自体は決して広くありませんが、その分、医師である私と患者さまとの距離が近く、アットホームな雰囲気で何でも相談していただけるのではないかと思います。
____診察を行う上で、先生が最も大切にされていることは何でしょうか?
干場みなみ先生まずは、患者さまが何を悩み、何を求めているのかを、きちんと傾聴すること。そして、不安な気持ちで来院された方に、少しでも「安心」して帰っていただくことです。専門用語を並べるのではなく、分かりやすい言葉で丁寧に説明し、患者さまがご自身の状態を正しく理解し、納得して次のステップに進めるよう、サポートすることを常に心がけています。
____最後に、この記事をお読みの患者さまへメッセージをお願いします。
干場みなみ先生「将来、いつかは子どもを……」と考えている、すべての女性にお伝えしたいです。まずは、「知る」ことから始めてみませんか。ご自身の身体について正しく知ることは、未来の選択肢を広げるための、最も重要で、そして最初のステップです。
不安なのは、皆同じです。でも、知ることで、次に何をすべきかが見えてきます。検査を受けるのが少し怖い、と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、勇気を出して一歩踏み出していただければ、私が全力でサポートします。どうぞ安心して、ご相談にいらしてください。