「自分らしく生き、健やかに年を重ねることを支えることも、医療の大切な役割」 ——そう語るのは、ゆたか内科消化器科クリニック(佐賀県)副院長・中島美和子先生です。内科・病理学・高齢者医療に30年以上の異色のキャリアを重ねた中島先生は、患者さんの生の声から美容医療の可能性を見出し、現在は内科と美容皮膚科を融合させた"ウェルエイジング医療"を実践しています。今回は、その最先端の診療スタイルが生まれた背景から、力を入れているシミ治療やスキンケア指導のこだわりまで、詳しく伺いました。
内科学、病理学、高齢者医療を経て、美容を取り入れたウェルエイジング医療へ

____先生が医師を目指されたきっかけについて教えていただけますか?
中島美和子先生医師を志したきっかけは、祖父が脳出血で突然倒れた時のことでした。祖父を案じながら懸命に対応する父の姿を見て、医療の持つ力を強く意識しました。当時中学2年生でしたが、「自分も目の前で大切な人が倒れた時に、直ぐにその場で救える人間になりたい」と感じました。それまで医師になることは全く考えていなかったのですが、その現場に立ち会ったことで、強くそう心に誓いました。
残念ながら祖父は2ヶ月後に亡くなりましたが、それが私にとって初めて「人の死」に触れた瞬間です。この実体験が医師への道を決意させ、祖父と父の背中を追う形で医学部へと進学しました。
____最初はどのような診療科に進まれたのでしょうか?
中島美和子先生大学卒業後は、久留米大学附属病院で研修し、消化器内科に入局。胃・大腸カメラなど、主にがんの早期発見や治療に注力していました。しかし、内視鏡でがんを見つけて組織を採取する中で、「顕微鏡の向こう側にある、さらにその先の病態までしっかりと自分の目で見極めたい」という思いが強くなり、大学院に進んで病理学を専攻し、医学博士を取得したのです。その後、結婚と出産を経て、介護老人保健施設(老健)で高齢者医療に従事しました。
____内科診療から、なぜ美容医療に取り組むようになったのでしょうか?
中島美和子先生内科医として若い方から高齢者まで色んなステージの患者さんを診てきました。抗がん剤治療・脳梗塞後遺症など、辛い治療を受ける患者さんを診る中で、お化粧やネイルをきっかけに表情が明るくなり、前向きさを取り戻していく姿を何度も目にしました。美容には人を元気にする力があると確信したのです。
また、治療の影響で髪や眉毛を失い、外出を諦めてしまう患者さんの姿も見てきました。美容は単に見た目を整えるものではなく、その人がその人らしく前向きに生きる力を支えるものだと思います。外出する楽しみを諦めず、その方の尊厳や自信を守ることが、結果として究極の予防医療になると感じたので私の診療に美容医療を取り入れようと考えました。
____これまで様々な医療現場を経験されていますが、なぜ「ゆたか内科消化器科クリニック」を開業され、現在の内科と美容皮膚科を融合させた診療スタイルを始められたのでしょうか?
中島美和子先生内科医として長年患者さんと向き合う中で、病気を治すことだけが医療ではないと感じるようになりました。その人が自分らしく生き、健やかに年を重ねることを支えることも医療の大切な役割だと思ったのです。お肌が綺麗になると、患者さんは驚くほど表情が明るくなります。ご高齢の方も若い方も、自信を取り戻し、外へ出かけ、人と会い、人生を楽しもうとされる。その姿を見て、心と身体の健康はつながっているのだと改めて実感しました。だから私は内科と美容皮膚科を融合した、その人らしい年の重ね方を支えるウェルエイジング医療を実践したいと考えました。 「内科、病理、高齢者医療」。一見すると異なる領域に見えるかもしれません。しかし、振り返ると医師として積み重ねてきたそれぞれの経験という「点」は、一本の「線」でつながっていました。その線の先にあるのが、美容医療を取り入れた現在の私の医療です。 そして、その医療を地域の皆さまに身近な形で届けたいという思いから、開業を決意しました。
ピコレーザーによる「シミ治療」と、何よりも徹底する独自の「スキンケア指導」

____クリニックにはどのような悩みを持つ患者さんが多いですか?
中島美和子先生美容皮膚科で一番多いお悩みは「シミ」で、20代前後の「ニキビ」相談も含め、幅広い年齢層の方が来られます。当院は「医者を絵に描いたような」穏やかな夫(院長)と私の2人で診療しており、全体がとてもアットホームな雰囲気です。美容皮膚科に来られる方の約半分は、内科診療や胃カメラ・大腸カメラの健診で通われている方々なんです。院内の掲示物を見て受診の延長線上で気軽にご相談くださいます。いわば、地域に根差した「健康相談室」のような身近な存在でありたいと思っています。
受診のついでに、「先生、実はここのシミも気になっとるんだけど……」と、健康管理の延長線上で相談していただける今のスタイルは、まさに私たちが理想とする地域密着のクリニックの形です。
____先生が特に注力されている施術について教えてください。
中島美和子先生____一番力を入れているのは、ピコレーザー(ピコウェイ®:シネロン・キャンデラ社製)を用いたシミ取りです。しかし各々の肌状態を診て診断し治療の選択をしています。熱レーザー(ジェントルマックスプロ®)や光治療(IPL;ノーリス®)等を用いた肌質改善治療も行っています。当院では患者さんの肌への負担や治療の確実性を最優先に考えているため、紫外線が非常に強い夏季(6月〜9月中旬頃まで)は、原則としてスポットのシミ取りレーザー治療は行いません。お互いにとって良い結果を導くため、季節に応じた適切な治療をご提案しています。夏季期間は主に肌質改善治療を行っていますね。
____施術の具体的な流れについて教えていただけますか?
中島美和子先生まずは洗顔をしていただいた後、「レビュー2」という肌診断機で現在の肌状態を詳しく撮影します。また、シミを診る際には、それが良性のシミなのか、それとも悪性の疑いがあるものなのかを皮膚病理の知識を活かして「ダーマスコープ」という専用のスコープを用いて私自身が診察・診断を行います。悪性が疑われる場合は皮膚科専門医に紹介します。その上で、患者さんと鏡を見ながら、気になるシミ部位のマーキングやお話し合いをさせていただきます。そして、当院の最大の特徴であり、私が最も時間をかけるのが「初診時のスキンケア指導」です。
____スキンケア指導にそれほど力を入れられているのはなぜですか?
中島美和子先生どれほど優れた美容施術を行っても、日々の洗顔方法や化粧水の塗り方が間違っていれば、お肌への刺激によって治りが悪くなったり、色素沈着を起こしたりしてしまいます。スキンケアの正しい方法は、学校では教わりませんよね。
そのため、当院では初診時に約30分もの時間をかけて、患者さんが普段どのように洗顔し、どのようにお化粧品を肌につけているかを実際に見せていただきます。その上で、「ここはもう少し優しく触れましょう」といった個別の具体的なアドバイスを徹底的に行います。施術後も、1週間後、2週間後の経過観察のたびに、看護師任せにせず私自身が必ずスキンケアのチェックを行いますね。ここを自分ごととして丁寧にアプローチすることが、患者さんとの確かな信頼関係づくりにつながっています。
病気だけを診るのではなく、その人の「人生」を見る

____診察を行う上で、先生が最も大切にされていることは何でしょうか?
中島美和子先生一番大切にしているのは、病気だけを診るのではなく、「その人の人生を見る、その人自身をしっかりと見る」ということです。これは、祖父や父からずっと教えられ、受け継いできた医師としての根幹の教えです。患者さんのライフスタイルや日々の生活、お仕事、お肌の病態生理までを深く観察し、その人にしっかりと寄り添った上で、自分なりの最善のアイデアとお手伝いを提案することを常に心がけています。
____最後に、この記事をお読みの患者さんへメッセージをお願いします。
中島美和子先生私が皆さまにお伝えしたいのは、年齢を重ねる事を恐れないで欲しいということです。お肌の健康も身体の健康も、その人らしい人生を支える大切な要素です。これからも身近なかかりつけ医として、皆さまのウェルエイジングをお手伝いしていきたいと思います。


